かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

6学年5領域

算数教育原論』を購入しました.著者は,「小学校学習指導要領解説算数編」の作成協力者の中に名前があります.はしがきにも,携わったので出版が遅れたと書かれています.
書名や装丁から,お堅いイメージもありますが,読みやすく分かりやすく内容でした.学習指導要領解説と別のソースで,過去・現在・未来の小学校の算数指導をイメージしてみたい人に,おすすめです.
なお,遠山啓・銀林浩の名前が(別々のページそして文脈で)入っています.とはいえ全体の内容には,数学教育協議会のテイストはまったく見られません.良い本,良いメッセージを取り上げ,紹介しているのだと,好意的に解釈しています.
といったところで本題です.この本からも,「×」の興味深い事例が見つかりました(p.13).

表見出しには,「6つの学年×5領域」とあります.それらをかけると,何になるかというと,本文にあるとおり「30のセル」です.
乗法としては,特に頭を悩ませる話ではありません.デカルト積であり,それは〈乗数と被乗数を区別しない文脈〉なのだと思えばいいわけです.
かけ合わせて表にすることについては,p.10で「2次元表」という節を設けています.p.11にも,BegleとWilsonによるものとして,計算・理解・応用・分析の4つを行,数・幾何・代数の3つを列に置いた表を示し,そのすぐ上に「4×3=12のセル(構成要素)」と記しています.
本の他の部分では,そのようなセルの数のかけ算表記が見当たりませんでしたが,これら2つの例からでも,著者は,表のセル(マス目)の数を式にするとき,「行数×列数」で一貫している,と読むことができます.
学年・領域によるセルの総数についてですが,一つ前の学習指導要領では,第1学年・第2学年には数量関係が入っておらず,算数的活動が4領域と同等に扱われていなかったので,22のセルだけになります.6つの学年×4領域で表にして,第1学年・第2学年の数量関係のところは,無効の表示をすればいいのでしょう.