かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

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2012年7月7日付読売新聞夕刊(3版)8面,「和田秀樹の算数教室」で,交点の数を求める問題が書かれていました.

問題1 5本の直線が、どれも平行ではなく、また3本以上が同じ点で交わらないとき、交点の数はいくつですか。

という問題に対して,図を描いて交点の数をカウントすると,10個.同じ5本の直線からなる図をもとに,1本の直線に着目して,次のように話を進めています.

直線アはイ、ウ、エ、オと交わるので、直線アの上には交点が4つできます。
同じように、直線イ〜オの上にも交点は4つできます。
よって、4×5=20(個)としたいところですが、この考え方だと同じ交点を2回数えているので、これを2で割って
20÷2=10(個)
が答えですね。

問題2は,「55本の直線」となっている以外,問題1と変わりません.55本もの直線を引くのは非現実的なので,式から求めます.解説の中で,公式化しています.

○直線と交点の数
直線がどれも平行ではなく、また3本以上が同じ点で交わらないとき
(交点の数)=(直線の数−1)×(直線の数)÷2

この「(直線の数−1)」や,問題1の解き方に出てくる「4」に,単位をつけるなら,「個」でしょう*1.このとき,直線の本数から点の個数へと単位変換がなされています.そしてそうすることで,「(直線の数−1)」「4」が一つ分の大きさあるいは基準量とみなせ,直線の数をかけると「直線xに対する直線yとの交点(ただしxとyを区別する)の数」,すなわち#{(X,Y)|X,Y∈{直線ア, 直線イ, 直線ウ, 直線エ, 直線オ}, X≠Y}が得られる次第です.
順列・組み合わせを使用していないので,直線と交点,それと2つの数量を式で表すことを学習している,4〜5年の子どもでも,解くことができる問題になっています.

*1:パー書きなら「個/本」ですが,それを採用すると,2で割るときの2にどんな単位をつければいいか,悩むことになります.