- 河崎雅人, 小池守, 梅澤実: かけ算九九教材の開発―ジグソーパズルを用いて―, 日本数学教育学会誌, Vol.93, No.8, pp.12-19 (2011). http://ci.nii.ac.jp/naid/110008711908
去年10月に取り上げた「宮下論文」の直後に入っていた論文です.出題数を,「?問×?人=?問」のサンドイッチで書いていたのが,記憶に残っていました.少し調べてみると,CiNiiから有料でダウンロードできました.
内容はというと,6から8までの段の九九をプリントした自作ジグゾーパズルを開発しています.覚えるのが難しいとされているそれらの段について児童らに親しみを持ってもらい,いろいろな理解度調査と統計分析を通じて,「パズル群」が従来型の学習(ドリル群)よりも良いことを報告しています.
乗法学習以外の説明で,かけ算を表記している箇所とその前後を取り出してみます.重複は取り除いています.
- ジグソーパズル(久野貿易商会:縦21.5×横21.5×厚さ2.0m
- 児童52名(26名×2学級)
- 81問×26名=2106問
- 27問×26名=702問
- 54問×26名=1404問
- 26人×19問=494問
- 19問×26名=494問
最初のはジグソーパズルの寸法です.寸法のかけ算表記は,去年5月(本棚),今年4月に見ています.
あとは被乗数と積の単位が同じサンドイッチ,と思いきや,1か所だけ「26人×19問=494問」というのがありました.p.17左,「表16 調査3群別正解数・誤答数」の表脚注です.
他の調査と比べて,特別な違いがあるわけではありません.版下作成や校正*1も通過して,サンドイッチに反するこの表記が残ったようです.
ということで,個人的には単純な誤記と考えています.「のべ」の路線で検討もしてみましたが,それでも,他の式と書き方が違う理由にはならないでしょう.
*1:決定日(いわゆる受理日でしょう)が7月11日で,8月1日発行となっていること,カイ2乗検定が「検定」となっているところから,著者校正がなかった可能性もあります.