かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

2×8=16と7×2=14

「7の倍数の判定法」では,一の位の数を2倍し,十の位以上の数から引く。それが7の倍数か0ならもとの数は7の倍数である。
(藤井斉亮「数学的問題解決過程における文字式の役割と機能」. 『続・新しい算数数学教育の実践をめざして―杉山吉茂先生喜寿記念論文集』p.200)

倍数の判定,あるいは与えられた数が7ほかの整数で割り切れるかどうかの判定は,倍数の判定が詳しいですし,google:7の倍数の判定でも上位に興味深い情報が出てきます.
読み進めます.

例えば,8638では,1桁の数8に2を掛け2×8=16で,863から引き算する。863−16=847,さらに7×2=14なので,これを84から引き,84−14=70で,7の倍数ということになる。
(前掲書 pp.200-201)

かけ算の式が2つあるうち,前者は「2×8=16」,後者は「7×2=14」です.どちらでもいいということ…?
「2×」も「×2」もあるのは,少し読み進めば容易に推測できます.「10a+bが7の倍数であるかは,a−2bが7の倍数になるかで判定できる」と書かれており,文字式を使用しているからでした.
本題から離れますが,文章はその後,3桁の数(ただし百の位の数は一の位の数より大きい)で,一の位の数と百の位の数を入れ替えて引き算し,さらに入れ変えて足し算すると,必ず1089になることを,文字式で証明するという話が出てきます.3桁の数を100a+10b+cとおいて,安易に100a+10b+c−(100c+10b+a)=99a−99cとすると,足し算でつまずきます.
本文ではどのようにすればよいかについても書かれています.こちらは文字式を使わず,Rubyで計算するプログラムを作ってみました.