かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

かけ算・わり算のフラッシュカード

Guiding Children's Learning of Mathematics With Infotrac

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 1桁×1桁のかけ算と,わり算について,瞬時に答えられるようにするためのフラッシュカードが紹介されていました(p.324)。
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 左側の(a)のカードには,赤で「63」,緑で「7」と「9」が書かれています。先生の側は,「63」を隠して子どもたちに見せると,子どもたちは「(7×9=)63」と答えます。「7」を隠して見せると,答えは「(63÷7=)9」となり,「9」を隠せば,「(63÷9=)7」です。
 右側の(b)ですが,1枚の紙の表面(Front)に,外周には0から9までがランダムで並んで赤で書かれ,中心には緑で「×8」とあります。裏面(Back)は,外周には0および8の倍数が青で,中心は「÷8」が緑で書かれています.
 ただし表裏の外周の数は,互いにランダムではなく,規則性があります.表面の赤色の数に,8をかけて得られる積は,裏面では左右で見てちょうど反対の場所に配置されます。
 こうすることで,例えば先生が,表面を子どもたちに向け「6」を指でさして,子どもたちが「(6×8=)48」と答えたとき,指さしている箇所の裏面の数とが同じになることから,正解なのが確認できるようになっています。間違った数を言ったら,指さす位置をそのままにして,このカードを左か右に180度,回転させれば,子どもたちには正解の数が見えることになります。わり算の問題も同様です。
 一つの数に,外周の数を一つずつかけて答えを言う,というのは,日本でも見かけます。以前に事例整理をしていました。

 今回の(b)のフラッシュカードは,かけ算とわり算を同時に練習する際に有用そうに見えました。「8×」ではなく「×8」となっているのは,米国のかけ算の「8の段」だからと考えられますし,「8をかける」と「8でわる」という操作の対称性と解釈することもできます。