かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

反比例や2乗に比例における係数を,比例定数と呼ぶことについて

 ラフに言うと,こうです.伴って変わる2つの量XとYの間に,\frac{Y}{X}=Aという式(ただしAはXにもYにも依存しない値でA≠0)が成り立つとき,Y=AXと書けますので,YはXに比例(正比例)し,その比例定数はAです.
 この比例の関係,そして比例定数という用語について,XやYは単純な独立変数に限定しません。「惑星の公転周期の2乗は,軌道長半径の3乗に比例する」という,ケプラーの第3法則(Kepler's Third Law)にも適用できます。公転周期をT,軌道長半径をdとし,X=d^3Y=T^2としたとき,\frac{Y}{X}すなわち\frac{T^2}{d^3}は一定ということですので,その定数値は,比例定数(the constant of proportionality)となります.
 そこまで複雑でなくても,Y=yとし,Xを,x分の1またはxの2乗と表したとき,y=\frac{a}{x}またはy=ax^2のaを,比例定数という(反比例定数や2乗比例定数などといわない)のは,正比例に帰着して考られるからです。さまざまな種類の比例を,統一的に取り扱うことができる,と言ってもいいでしょう。
 ここまで書いてから,批判サイドのまとめを読みました。

 上記Togetterまとめを知らずに,軽く調べていくつかツイートしていました。URLは2つだけですがそれぞれ複数のツイートがつながっています。ケプラーの第3法則の件も,取り上げています。

 ツイート状況を見るには,Yahoo!のリアルタイム検索です。「比例定数」の結果から,自分で調べたのと別で,良質の情報を得ることができました。一つだけ,リンクしておきます。

 さて,「ラフに言うと」には,いくつか補足をしておかないといけません。まず,比例の定義は\frac{Y}{X}=Aではありません。その定義を採用すると,Xが0のとき取り扱えないからです。小学校の算数の「商一定」と密接に関係のあるこの式は,「変数の値が0の場合を除いて」といった文言をつけて比例の性質の一つとするほか,比例であると判断する*1ための十分条件として活用されます。
 比例定数を決定する際には,2つの変数(変量)が区別されます。「XとYは比例の関係にある」と書くと,2量は対等という見方ですが,「YはXに比例する」と書いたとき,Xが独立変数(説明変数),Yが従属変数(従属変数)と解釈され,このもとで,Y=AXのAが比例定数となります.独立変数と従属変数が反対になると,比例定数も変わります*2ケプラーの第3法則のX=d^3や,球の体積が半径rの3乗に比例するといった場面では,dやrが独立変数(説明変数)なのではないのかと,言いたいところですが,比例関係においては,説明するサイドの変量と思えばいいでしょう。
 文字をおくことで,変域が変わり得る点にも注意が必要です。y=ax^2について,xの変域が実数全体であっても,X=x^2の変域は0以上となります(yの変域はaの符号に依存して,y≧0またはy≦0となります)。このことをきちんと理解しようとするなら,合成関数(合成写像)への理解も欠かせません。

*1:比例定数の具体的な値に関心のないときは,\frac{Y}{X}=\mbox{const.}などとも書かれます。wikipedia:定数に「const.」が出現し,英語版にはなかったのでこれは日本限定かもと思いながら他言語版を見ると,ロシア語版のwikipedia:ru:Постояннаяに「C = const.」がありました。

*2:数としては逆数になります。ただし物理量においては,単位を添えて比例定数を書くのが一般的ではないかと思います。