かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

あまりの処理の包含除

 3年の算数で,除法が使われる場面を調査したところ,あまりの処理に関連して,答えの数が,商の数に1を加えたものになるのは,包含除ばかりであることに気づきました。
 Webで検索して得られた,学習指導案や学習ドリルの問題を,抜き出します。

【学習問題】メロン35こを,1はこ4こずつ入れて売ります。何はこできますか。

【学習問題】35人の子どもが,長いす1きゃくに4人ずつすわっていきます。みんなすわるには,長いすが何きゃくいりますか。

(1) 子どもが35人います。4人用の長いイスにすわるためには,この長イスはいくつあればよいですか。

(2) ケーキが28こあります。1箱に6このケーキを入れます。全部のケーキをいれるには,箱は何箱あればよいでしょう。

(4) 6ページの本を,1日に10ページずつ読みます。全部読み終わるまでに,何日かかりますか。

問題 35人の子どもが、長いす1きゃくに4人ずつすわっています。みんなすわるには、長いすが何きゃくいりますか。

ケーキが23こあります。1箱に4このケーキを入れていきます。
全部のケーキを入れるには、箱は何箱あればよいでしょうか。

 「35人の子どもが,長いす1きゃくに4人ずつすわっていきます。みんなすわるには,長いすが何きゃくいりますか。」と同等の問題が頻出なのは,教科書に出現するためと推測します*1
 この問題について,式は「35÷4=8あまり3」となりますが,だからといって答えを「8きゃく」としてしまうと,あまりの3人は,長いすに座れなくなります,「みんなすわるには」,長いすをもう1つ用意し,「9きゃく」が正解,という問題です。
 「35÷4=8(あまり3)」の式を見たとき,被除数と除数が「~人」として同種の量,商が「~脚」と異なる量に対応付けられることから,包含除の場面であることが確認できます。
 Webではなく書籍を見ておきます。

改訂新版 講座 算数授業の新展開 第3学年

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 「ボールが27個あります。6個ずつ箱に入れるとすると,ボールを全部箱に入れるには何個いるでしょう。」という,p.85に例示された問題も,やはり,包含除の場面で,27÷6の商の4ではなく,1増やして「5個」が正解となります。
 等分除で,商が答えの数となるものは,よく見かけます。あまりのあるわり算①の最初の問題が該当します。「あさがおのたねが18こあります。4人で同じずつ分けると,1人分は何こになって,何こあまりますか。」という問題に対し,答えは「1人分は4こになって,2こあまる。」です。
 教科書の出題事例も整理しながら,等分除と包含除の相違点を探っていきたいと考えています。

*1:『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編』では,第3学年の算数的活動の中で「38人の子供が座れるよう4人がけの長椅子を用意する。何台用意すればよいか。」という問題場面を取り上げています。