奥付を見ると,監修者が「蔵満 逸司(くらみつ いつし)」となっています。学校図書の算数教科書の編集に,名前が入っていました。
そして奥付のひとつ手前,p.86には以下のとおり,2年で学んだことを生かして,かけ算で求める話が,漫画になっています。
「おたのしみ会」の係を4人で担当します。「おり紙はどうかな?」と提案し,その次からが上の画像です。「いいね」のあと,「じゃあ ぼくたち 4人で ひとり 8まいずつ おり紙を もってこよう」と言う子がいます。式は「8×4=32」で,「ぜんぶで 32まいだね」そして「32まい あれば クラスの みんなで おり紙が できるね」のセリフで,このページは終わっています。次のページも漫画で,2年で学んだことと,3年の学習への期待を,めいめいが発言しています。
興味深かったのは,「4人で ひとり 8まいずつ」に対し,「4×8=32」ではなく「8×4=32」という式を言っているところです。
過去に読んだことのある問題集で,最後の問題に,2つの数の出現する順序を反対にして,かけ算の式にするというのがありました。今回の本では,練習問題ではなく,エピローグ*1のところで,採用したということでしょうか…
と思いながら,かけ算の単元を読み直すと,p.58の最下段に,逆にすることが期待される問題がありました。「じどう車が 7台 あります。1台の じどう車には 5人 のれます。ぜんぶで 何人 のれますか。」で,式と答えを書く欄があります。別冊の解答・解説を見ると,解答として赤字で書かれた式は「5×7=35」で,解説には「5のだんのかけ算の問題です。かけられる数は5ですから,間違えて7×5と式をつくらないようにしましょう。」と書かれています。
かけ算の単元(pp.54-63)を読んだところ,「ずつ」の出現は,「みんなで 1こずつ 分けよう」(p.54)と「1こずつ 数えて いくと たいへんだ。」(p.55)の2箇所だけです。文章題で「ずつ」は見当たりません*2。学習を通じて,「ずつ」のあるほうがかけられる数,と判断しないための,作為的なものと思われます。