かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

百分率の文章題(割合の第1用法)を二重数直線で解く

百分率を求める文章題に対して,二重数直線で解く手順を示します.
さっそくですが問題です.

ある小学校には3年生が80人います。
そのうち,逆上がりができるのは32人です。
逆上がりができるのは,3年生全体の何%ですか。

解き方のGIFアニメーションは次のとおり.

以下,主要なところを取り上げます.まずは二重数直線.

左端に縦線を入れて,その上下に「0」を書きます.小学校の算数ですので,ここより左に数量は来ません.
矢印の先ですが,上には「(人)」,下には「(割合)」を書いておきます.問われているのは「何%」ですが,二重数直線に表すときには,100%を1とした小数を用いると,小数のかけ算・わり算の文章題と同じように考えて,解くことができます.「1」を含む,割合のほうを下に置くのが,慣例となっています.
この数直線に,値を書き込んでいきます.

問題文には「80人」と「32人」とあるので,これらを上段…人の数直線上に書きます.

「3年生が80人います」そして「3年生全体の何%ですか」とあるので,80人が全体です.100%,と言いたいところですが,百分率を使わないルールにしたので,ここは1です.同じ縦位置になるように,80の下の,割合の数直線上に「1」を書きます.
「逆上がりができるのは,3年生全体の何%ですか」とあるので,32の下の,割合の数直線上に「□」を書いておきます.これが求めたい値となります.
このとき,「□」と「1」が同じ数直線上にあることにも,注意しておきましょう.もしそれらが,斜め(はすかい)の位置であれば,第2用法となります.あるいは,同じ縦位置にあれば,第3用法です.それはさておき…
図に「わり算の関係」を書き込みます.

80から1に向けて矢印を置き,「÷80」を添えます.これは「80を1にする」という意味になります.
次に,「32」から「□」に向けて,同じように矢印を入れます.

そしてその矢印にも,「÷80」を添えます.その意味は「人数を80でわったら,割合になる」です.小数のわり算の(割合の)第1用法と同じ構成になっています.
では32を80でわったら,何になるでしょうか.ここで式を立てます.わり算ですね.

筆算で,32÷80=0.4を求めます.わる数の「0」,そして商の小数点の扱いにも,注意しないといけません.

0.4と出たところで,数直線の「□」に0.4を当てはめておき,大小関係に問題がないことも,見ておきましょう.
問われているのは「何%」なので,0.4を百分率に直して,答えは…「40%」です.おしまい.

ここまでの手順を箇条書きにします.

  • 二重数直線を正しくかく。
    • 割合でない2つの数量の大小関係に注意する。
    • 割合は下の数直線に。「1」も忘れずに
    • 求めたい値に「□」
    • 1の左か右に□があったら,このわり算!
  • 図を使って「何わる何」の関係を明らかにする。
    • 1の上の数から,1に向けて矢印をかき,「÷数」をそえる。
    • もうひとつの2つの数にも,同じように矢印と「÷数」
  • 式を立て,答えを求める。
    • 「何を何でわったら□になる」をもとに,式を立てる。
    • 暗算または筆算で,□を求める。
    • 「○%」で答えをかく。

小学校の5年で学習する,小数のかけ算・わり算の文章題について,次のように分類することができます.

  • 第1用法か,第2用法か,第3用法か
  • 割合に当たる数が,1よりも大きいか,1よりも小さいか
  • 割合に当たる数が,文章題でも割合(百分率などを含む)として書かれているか,文章題では割合でない量として書かれているか

今回は「第1用法」に基づく問題であり,割合に当たる数は「1よりも小さい」のに加えて文章題では「割合(百分率)」として問われています.
他のパターンの出題については,別の記事でご紹介します.