かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

3人2れつで

 昨日公開の解説記事です。「①文章問題と絵をつなげる」の中に,1年生のたし算,2年生のかけ算のそれぞれで,3つずつの文章問題と3つずつの絵があり,線でむすぶという問題を紹介しています。
 かけ算の問題に,時間を取られました。図はこうなっています。

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 3つの文章問題のうち,真ん中の「女の子が3人2れつでならんでいます。ぜんぶで何人ですか。」だけが「女の子」ですので,まず,以下のようにむすびます。

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 次に,左の文章問題は「男の子が3人2れつでならんでいます。ぜんぶで何人ですか。」と書かれており,「男の子」を「女の子」に置き換えれば,真ん中の文章問題ものと一致します。「3人2れつ」という場面が同じになっているので,次のようにむすびます。

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 残ったのは,右の文章問題の「男の子が2人3れつでならんでいます。ぜんぶで何人ですか。」と,左の絵です。むすんだら,完成です。

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 ここまでは,「合うもの」を一つずつ見つけて,順にむすんでいきましたが,線をリセットして問題文を順に見ていくと,次のように考えることもできそうです。左の文章問題の「男の子が3人2れつでならんでいます。ぜんぶで何人ですか。」に最も合致した場面は,左の絵なのです。

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 ただしこのようにむすんでしまうと,残りの2つをどうすればいいか,困ることになります。というのも,真ん中の文章問題の「女の子が3人2れつでならんでいます。ぜんぶで何人ですか。」と,右の文章問題の「男の子が2人3れつでならんでいます。ぜんぶで何人ですか。」とでは,「3人2れつで」と「2人3れつで」という,異なる数量の関係になっているのに対し,残りの絵は「女の子」と「男の子」だけが違い,並び方(何人ずつ何列できているかという,数量の関係は同じ)に見えるのです。
 この問題に関しては,以下のようにむすぶのも,ありなのではないかと思います。

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 記事のはじめに書かれた箇条書きと照合しながら,「(2年生掛け算)」の出題に関して気になったのは,次の2点です。一つは,「3人2れつ」と「2人3れつ」という書き方(そして対比)が,「場面をイメージし把握する力」に寄与するのか,もう一つは,「女の子」と「男の子」とで,場面を区別するというのが,「問われている内容を理解する力」や「数の概念」と相容れないのではないかということです。
 場面のイメージの支援に,アレイは適切でないと,個人的には理解しています。公開されている出題の中で,絵を取り入れて「場面をイメージし把握する力」「問われている内容を理解する力」などを測る文章問題としては,東京都算数教育研究会の学力実態調査の「子どもが 3人 います。みかんを 1人に 4こずつ ふくろに 入れて くばります」の件(http://tosanken.main.jp/data/H25/happyou/20131018-7.pdf#page=6)があります。同じページの次の大問では,アレイの認識や,1つの場面からさまざまな(かけ算を含む)式を作ることを問うものとなっています。


 箇条書きのうち「四則計算の適応能力」にも,違和感を覚えました。直後の「計算能力」と区別するのなら,四則(たし算・ひき算・かけ算・わり算)の入った複雑な式でも計算して正しい答えを求められる能力,ということでしょうか(そうすると計算能力は,単一の演算を早く正確に行える能力と,対応づけられます)。
 「計算能力」で検索すると,「計算能力検定」というのがあるのを知りました(小学生向けには,http://www.kisoryoku.or.jp/keisan/keisan_level1-6/)。いらすとやの絵が,効果的に使われていました。