かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

防災教育(備蓄計画)の複比例関係

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 上の画像は,「平成27年度用小学校教科書 内容解説資料」から取り出したもので,https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/text/sho/h27textbook/math/data/dp_detail_math.pdf#page=35よりアクセスできます。
 かけ算の式は,「③計画をたてよう」にあります。書き出します。

〈備蓄計画〉
 わたしの家は4人家族なので,4人分の備蓄計画をたてました。
・飲み水は,3×4×3=36で36L必要なので,2Lのペットボトルを36÷2=18で18本用意しておく。
・食料は,1人1日あたり,
  かんパン200g,アルファ米100g,かんづめ2個
 とすると,その(4×3)倍必要だから,
  かんパン2400g,アルファ米1200g,かんづめ24個
 を用意しておく。(以下略)

 かけ算の式の一つは,「3×4×3=36」,もう一つは「(4×3)倍」です。共通して出現する「4×3」について,4は家族の人数,3は日数です。
 ですが,かけ算の答えとなる「12」を,「12人」とみなすのには,違和感があります。
 ここは「4人×3日=12人・日」とし,「②調べてみよう」に書かれている「1人1日3L」を「3L/人・日」に読み替えることで,かけると,「3L/人・日×4人×3日=36L」を得ることができます。この「3L/人・日」は複内包量です。
 「3L/人・日×4人×3日」の最初の2つの因数だけを計算すると,「12L/日×3日」となります。4人家族なら,1日12Lが必要という情報を含んでいます。また(交換法則・結合法則を利用して)「3L/人・日×4人×3日=3L/人・日×3日×4人=9L/人×4人」とすると,3日間の備蓄計画として,1人あたり9Lを必要とするのが分かります。
 ここまで,かけ算の式に単位を取り入れ,またパー書きも積極的に活用しましたが,算数の「式の読み」として考える場合にはそれらは不要で,「3×4×3のうち,3×4は何を表しますか? 順序を変えて3×3×4と書いたら,この3×3は何を表すことになりますか?」と問えばいいのです。


 授業例です。

 前者(Yahoo!ブログ)を,a×b×cでもa×c×bでもよいでリンクしていました。
 複比例や,食料(シリアル)への適用に関しては,メインブログ(わさっきhb)で取り上げていました。

 ところで,この備蓄計画についてですが,令和2年度からの(啓林館の6年の算数の)教科書見本には見かけませんでした。
 2020年度用 算数 教科書のご案内 | 小学校 | 啓林館でリンクされている観点別特色一覧表(Word)を見ていくと,「防災」の題材は5年になっています。