かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

計算を行う過程か,結果としての表記か

 メインブログ(わさっきhb)では,小数点以下の数字の扱いについてで取り上げていました。9年前です。
また算数教育への批判と『小学校学習指導要領解説算数編』の記載,Ver.4をリリースでは,「0.2+0.8=1.0が間違いなのはおかしい」の批判に対し,新しい解説(2019年3月)より「「結果としての表記は1」が明記」を抜粋していました。
 新しい解説を,この機会に読み直しました。小学校学習指導要領解説:文部科学省でリンクされている【算数編】のURLには20211102が含まれています。該当箇所はhttps://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf#page=160です。

 文章について,特徴的なのは整数・小数・分数の数値ではなく,「過程」と「表記」の二字熟語でした。強調表示を入れると次のようになります。

 また,小数や分数を数直線上に表す過程や,0.2+0.8や\displaystyle\frac{2}{10}+\frac{8}{10}という計算を行う過程で,1.0という表記\displaystyle\frac{10}{10}という表記をすることがある。小学校では,有効数字の概念はまだ学習していないので,結果としての表記は1と簡潔・明瞭に表現できるようにすることが大切である。一方,1−0.2や\displaystyle1-\frac{2}{10}を計算する過程では,1を1.0とみたり\displaystyle\frac{10}{10}とみたりできるようにすることも大切である。このように,数の概念としての1には,表記として1,1.0,\displaystyle\frac{10}{10}などがあることを理解できるようにし,表記としては必要に応じて使うことができるようにすることが大切である。

 対比のフレーズで,色分けをすることも可能です。

 また,小数や分数を数直線上に表す過程や,0.2+0.8や\displaystyle\frac{2}{10}+\frac{8}{10}という計算を行う過程で,1.0という表記や\displaystyle\frac{10}{10}という表記をすることがある。小学校では,有効数字の概念はまだ学習していないので,結果としての表記は1と簡潔・明瞭に表現できるようにすることが大切である。一方,1−0.2や\displaystyle1-\frac{2}{10}計算する過程では,1を1.0とみたり\displaystyle\frac{10}{10}とみたりできるようにすることも大切である。このように,数の概念としての1には,表記として1,1.0,\displaystyle\frac{10}{10}などがあることを理解できるようにし,表記としては必要に応じて使うことができるようにすることが大切である。

 ここまで,『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編』の特徴的な記載を見てきましたが,冒頭のtogetterまとめの画像で見ることのできる「6.6+1.4」の筆算に,改善を試みようとするなら,筆算と別に「6.6+1.4=」を印字しておき,等号の右に,答えを書かせることです*1。そこで子どもが「8.0」と書いたのなら,「答えに書くのは8.0ではなく8」として△にするのです。「答えに書くのは」は,「結果としての表記は」の小学生向け表現です。
 小数点以下の数字の扱いについてで取り上げた「6+0.5×2」は,「計算を行う過程」で,0.5×2の「結果としての表記は1」とすることで効率的に計算ができます。例えば(6.6+1.4)×13を,(2段階の)筆算で計算するときも,8.0×13とするのは非現実的です。

*1:画像の下部に「筆算でしましょう。」のあと,「①1.4+3.9」が見えていますが,その右に等号と計算の結果を書くのは難しくようにも思われます。