かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

こんなの考えた・これ見つけた

直後の3つの返信*1が,「かけ算の意味」あるいは(日本の)小学校の算数指導で得られる答えになっています.
なお,「(2)3個が実は3色団子だったときの団子の総数」と,返信ツイートのうち「こうした二義的なケースを文章題にして児童に課すべきではない」については,関連する出題が,以下の本に載っています.

誰もができる子どもに活用力をつけるワクワク授業づくり―第2回RISE授業実践セミナーの報告

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デカルト積(直積)でモデル化できる場面が用いられており,デカルト積のピクトリアル - わさっきで他の文献とともに紹介しています.「3種類のお菓子がそれぞれ4個ずつあります。お菓子は全部で12個です。」といった「お話をつくってみる」(作問)をさせるにあたっては,「深入りすると混乱を招く心配があるので、軽く触れる程度にする」ことが,教師の支援と留意点の欄に記載されています.
デカルト積(直積)でモデル化できる,かけ算の場面は,小学校2年の算数の教科書にも,例えばロッカーの配置などで,目にすることができます.その場合のかけ算の式は,1つとは限りません.なお,アレイや集合の直積は「累加の考えに帰着して処理できること」を,1960年代に中島健*2が指摘しています.

リンク先はhttp://www.nichibun-g.co.jp/library/sansu_shoho/sansu_shoho11.pdfです.「式の順番を入れ替えて答えをいったりするような練習も取り入れていく」とあるのですが,文書全体が「九九の指導」ですので,ここは「いんいちがいち,いんにがに,…」と順に唱えていく以外の方法を提案していると,読むべきでしょう.
はじめは例えば6の段など段を限定し「ろくさん?」「じゅうはち!」「ろくは?」「しじゅうはち!」などとやりとりするのが,想定されます.そのうち,段の固定も取り除いて「はちろく?」「しじゅうはち」と答えられることを目指します.
ところでこのPDF文書は,「1つ分の数×いくつ分」でかけ算の式を表すものとし,そうでない立式は不正解とする,という指導に対しては何も言っていません.
そこで,日本文教出版のサイトにある評価テスト例を見ておきます.
「2年下」のPDFファイルを見ると,式の表現*3に関連するところではすべて「1つ分の数×いくつ分」が意図されています.
2つの数をひっくり返してかける,文章題もあります.「10 かけ算(2)」の大問6で,「ふくろが 9つ あります。1つの ふくろに 8こずつ あめを 入れます。あめは,ぜんぶで 何こ いりますか。」に対し,式と答えを書く欄が設けられています.〈解答編〉を見ると,式の正解は「8×9=72」となっています---順序を問わない解答では,「(順不同)」が添えられていますが,ここにはありません.


先行事例・関連情報を踏まえることなく,「こんなの考えた!」「これ見つけた!」と,Twitterで問いかけても,得られる結果は決して多くならないように思いながら,自分の情報整理を主な目的として,この記事を書き上げました.

*1:https://twitter.com/flute23432/status/821987066741276672, https://twitter.com/flute23432/status/821987147913641989, https://twitter.com/flute23432/status/821987307431469056

*2:http://ci.nii.ac.jp/naid/110003849391

*3:「式の表現と読み」といえば,小学校学習指導要領の算数の「D 数量関係」の領域です.文科省サイトでダウンロードできる,小学校学習指導要領解説算数編の2つのPDFで「式の表現」を検索してみると,第2章に何度か出現し,各学年の内容を詳しく述べた2番目のPDFファイルではヒットしませんでした.