かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

まちがい黒ばん

 読んでいくと,かけ算の学習が始まるのはp.98で,表題は「かけ算九九① かけ算の しくみ」です。このページに大きく書かれた式は「3×5=15」で,3つの数の右にはそれぞれ「(こ)」「(まい)」「(こ)」,乗算記号の上には「かける」が,小さな文字で添えられていました。
 この次のページから,「1のだん」(p.117)まで,見開きの右側の文章題について,いずれも,かけ算にするための2つの数は,出現順でした。
 さらに読み進めると,「まちがい 黒ばん」と題するページに,かけられる数とかける数*1の意味を問う問題が,含まれていました。
 撮影して貼り付けるのではなく,出題内容を説明することにします。このページ中央の黒板イラストに対し,下で「まちがいが 4つ あるよ。」と先生が言い,「見つけたら 赤色で ○を つけてね。」と指示します。
 黒板の左上に,かけ算の式が3つ並びます。「① 7×7=49」「② 6×8=42」「③ 5×3=15」とあり,このうちの②の計算がまちがっています。数を1つだけ換えて,正しい式にするには,「6×8=48」または「6×7=42」が考えられます。
 「③ 5×3=15」の式について,右に吹き出しがついており,「5×3の絵」です。1つのカゴに3つずつのミカンが,5カゴあるというイラストです。このイラストは「5×3の絵」になっておらず,1つのカゴに5つずつのミカンが,3カゴという絵にしないといけません。とはいえこのページで行うのは,誤り訂正ではなく誤り検出であり,答えの該当箇所(p.33)を見ると,ミカンとカゴのイラストに,大きめの赤丸がついていました。
 3番目のまちがいは,カラーテスト(業者テスト)や全国学力テストでは見かけませんが,良問だと思います。「④ 6こ入りの ケーキが 2はこ あります。ケーキは ぜんぶで 何こ ありますか。」という問題に対し,「(しき)6×2=12」で,「こたえ 12はこ」は下線つきです。最後の「はこ」が,問題場面に合っておらず,「こ」にしないといけません。
 4番目は,「A 数と計算」と「D データの活用」の両方の領域にまたがった,2年の学習事項に見えます。黒板の右上に,1月と2月の「お休みした人」が書かれています。それぞれ「7人」と「18人」で,合計は「24人」です。合計は,正しくありません。
 計算としては4番目はたし算になるので除外し*2,3つのまちがいを手短に書くと,「九九の計算のまちがい」「かけられる数とかける数のまちがい」「こたえのまちがい」となります。

*1:同書で「かけられる数」「かける数」の定義は見当たりませんが,p.129のかけ算九九の表に書かれているほか,「かけ算九九の マス計算」と題するpp.124-125にも出現します。

*2:かけ算の誤り検出問題にするなら,1月,2月,合計の人数を「3人」「12人」「36人」と割り当てるのが一案です。3×12=36は,2年でも学習します。しかし人数の合計を求める場面ですので,3と12をかけてはいけません。