かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

鶴亀算は匹数×本数?

鶴亀算の小学生向けの解き方で,かけ算の記号「×」の左に匹数(いくつ分),右に1匹あたりの本数(一つ分の大きさ)を書いているものを3例,見つけました.

ユーリ「あのね、5匹が全部ツルだったら足は10本じゃん?」
ツル5匹なら、足は10:図省略)
「確かにそうだね。5匹のツルがいて、ツルの足は2本ずつだから、5×2=10で、足の数は全部で10本。それで?」
(『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』p.39)

問題1 50円の切手と80円の切手を合わせて40枚買ったら、代金は2750円でした。50円の切手と80円の切手を、それぞれ何枚ずつ買いましたか。
この問題を、中学校2年生、中学校1年生、小学校6年生、小学校4年生に適した解き方をしてみます。もちろん答は同じですが、学校で習っているやり方によって、解き方は異なります。
(略)
小学校6年生の解き方(鶴亀算
40枚とも50円切手を買ったとすると、
40×50=2000
で2000円ですみます。(略)
(『算数再入門―わかる、たのしい、おもしろい (中公新書)』pp.175-177)

【問題】鶴と亀があわせて8匹いて、その足の合計は20本です。鶴と亀はそれぞれ何匹いますか?
この問題の典型的な解法は次の通りです。まず、8匹全部が鶴だとすると、足の数は、
8×2=16
より16本となります。
(引用にあたり改行位置を変更しています)

【前篇】なぜ、数学の勉強法を間違ってしまうのか | 大人のための中学数学勉強法 | ダイヤモンド・オンライン

後ろ2つは,http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20130420/1366454468#20130420f3で取り上げています.
とはいえ,匹数×本数で統一されているわけではありません.中学校で学習する,文字式による表現を見ると,『数学ガールの秘密ノート』だと2x+4y=16,『算数再入門』だと50x+80y=2750と,一つ分の大きさのほうが係数となって,匹数・枚数にあたる文字の左に書かれています.また3例目のWebページも,イラストによる解説では,「2×7=14本」「4×1=4本」など,本数×匹数の式になっています.
匹数×本数で表せることについては,かける数が1あたり1988年のmultiplicative structuresで書いてきましたが,なんとも妙なつながりを感じました.