かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

A×B=Cの場合,AとCの単位が同じ

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小学校2年の算数で、掛け算を習います。
掛ける数と掛けられる数という内容があります。
2×3=6の場合、2が掛けられる数で3が掛ける数。
泥棒2人が追いかけられる、警官3人が後から追いかけると覚えると覚えやすいです。


A×B=Cの場合、AとCの単位が同じという掛け算のルールがあります。
「ウサギが5羽。耳は全部でいくつ?」という問題に、2×5と書けば2本耳のウサギが5羽で耳10本となりますが、5×2と書くと5本耳のウサギが2羽という意味になる。
強引に5羽の2本耳のウサギと考えたとしても、答えが10羽になることに(笑)

ああ,わかりやすいですね.ただ,2017年に書かれた文章で,間違いのかけ算の式に2種類の解釈(「5本耳のウサギが2羽」と「答えが10羽」)を示しているのを読むのは,初めてです.かけ算の順序論争について(日本語版) - わさっきのB-3とB-4が該当しますし,本だと2003年に出た『板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 小学校算数2年〈下〉』があります.
これに対して,冒頭のツイートをした方が,昨日,コメントをしています.「そのようなルールの存在はどこかに根拠があるのでしょうか?」とのこと.
2〜3年の算数で,教科書や問題集や,学力テストを見ていたら,「A×B=Cの場合、AとCの単位が同じ」というのは,経験的に得られてもおかしくないのですよね.リンク先記事の出だしの「小学校2年の算数で、掛け算を習います。掛ける数と掛けられる数という内容があります。」と,6番目のコメントの「縦3m、横4mの長方形の面積を求める際に、3m×4m=12mとなってしまい面積の単位になりません」とで,対象学年が異なっていることにも,配慮をしたいものです.
実際,2〜3年の算数の教科書や出題で,目にしてきた正解は,「A×B=Cの場合、AとCの単位が同じ」となるものばかりです.
その理由は,小学校学習指導要領解説編から推測できます.乗法が用いられる場合とその意味では,「乗法は,一つ分の大きさが決まっているときに,その幾つ分かに当たる大きさを求める場合に用いられる。つまり,同じ数を何回も加える加法,すなわち累加の簡潔な表現として乗法による表現が用いられることになる。また,累加としての乗法の意味は,幾つ分といったのを何倍とみて,一つの大きさの何倍かに当たる大きさを求めることであるといえる。」と記載されています.
「ウサギが5羽。耳は全部でいくつ?」という問題に,2×5と式を立て,(同数)累加に基づき2+2+2+2+2=10と求めれば,2も10も耳の数であり,かけられる数の2も同じです.かける数の5は,ウサギの匹数で,異なりますね.
小学校学習指導要領解説編で例示されている「3×4の式から,「プリンが3個ずつ入ったパックが4パックあります。プリンは全部で幾つありますか。」というような問題をつくることができる」に関しても,3と,積の12は,プリンの数であり,4はプリンの数ではなくパック数です.
海外文献では,Greer (1992)が関連します(かけ算・わり算でモデル化される場面 - わさっき).かけ算の導入時は,「同数のグループ(Equal groups)」が基本で,「等しい量(Equal measures)」もあっていいと思います*1が,いずれもかけられる数と積が同じ種類の量であり,かける数はそれらと異なります.
ちょっとだけ,注意したいのは,「A×B=Cで,AもBもCも単位が同じ」となる場合もあることです.
2年ではアレイが考えられ,その場合には,B×A=Cも,認められるはずです.小学校学習指導要領解説編では,「アレイ」の語こそないものの,12個のおはじきを工夫して並べる活動により,ある並べ方に対して「2×6 または 6×2」と記していまして,2も6も(そして積の12も)おはじきの個数を表します.
また別の「A×B=Cで,AもBもCも単位が同じ」が,3年に出現します.啓林館の乗法的オペレータ|算数用語集によると,「赤の車は2m走りました。青の車は赤の3倍,黄の車は青の2倍走りました。」に対し,「3倍」「2倍」「3×2倍」を含む関係図をが見られます.
「3倍して2倍したら6倍だ」というわけで,これもまた「A×B=Cで,AもBもCも単位が同じ」を満たす関係なのです.
ですがこの場面で,「2×3倍」が許されるかどうかは,わかりません.黄の車の走った長さについて,2×2×3と式を立ててみたとき,「2×2」は何を表すのかというと,答えられないのです(2×3×2と書いたのなら,その中の「2×3」は,青の車の走った長さであり,「3×2」は,「黄は赤の何倍になるか」を表したものとなります).


https://twitter.com/sekibunnteisuu/status/842867751920140289のリンクで,http://suugaku.at.webry.info/201102/article_4.htmlも読みましたが,同時期に出た『小学校指導法 算数 (教科指導法シリーズ)』と照らし合わせて読みたいところです*2

*1:http://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sansu/WebHelp/02/page2_16.htmlの「長さが 6cmの おもちゃの 電車が あります。2つ分の 長さは 何cmに なりますか。」が該当します.

*2:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20130214/1360776013#%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%8C%87%E5%B0%8E%E6%B3%95%20%E7%AE%97%E6%95%B0