新旧の『小学校学習指導要領解説算数編』のPDFファイルを対象に,「端」の語が,前後にどのような表現を伴って出現するかを,取り出してみました。KWIC (keyword in context)形式にしています。
現行の解説(平成20年6月)はhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syokaisetsu/よりダウンロードできます。以下の2つのファイルをダウンロードしてから,Adobe Acrobat Reader DCで開いて検索し,出現箇所と前後5文字,出現ページ番号を記載しました。
- 算数(1):http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_1.pdf
- 算数(2):http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/06/16/1234931_004_2.pdf
3学年で, 端 数部分の大 (p.36) の大きさや 端 数部分の大 (p.36) き,一方の 端 をそろえて (p.44) て,他方の 端 の位置によ (p.44) りの個数と 端 数という数 (p.64) りの個数, 端 数として表 (p.64) く方法と, 端 数から取っ (p.68) で,一方の 端 をきちんと (p.71) ,反対側の 端 で,その大 (p.71) に満たない 端 数がそれぞ (p.80) とともに, 端 下の処理に (p.90) ア 端 数部分の大 (p.111) 踏まえて, 端 数部分の大 (p.112) 多いので, 端 数部分の量 (p.113) の大きさや 端 数部分の大 (p.114) の大きさや 端 数部分の大 (p.115) は,測定で 端 下の数を最 (p.135) さとその両 端 の角の大き (p.184) 記号化して 端 的に表すこ (p.212)
新しい解説(平成29年6月)は,http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htmよりダウンロードできます。以下の2つのファイルを参照し,抽出の方法は上と同じです。
- 算数(1):http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/05/07/1387017_4_1_2.pdf
- 算数(2):http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/05/07/1387017_4_3.pdf
び分数は, 端 数部分の大 (p.44) き,一方の 端 を揃えて, (p.58) て,他方の 端 の位置によ (p.58) い。要点を 端 的に把握す (p.69) タの特徴を 端 的に捉える (p.70) りの個数と 端 数という数 (p.80) りの個数, 端 数として表 (p.81) 0が幾つと 端 数と捉える (p.82) く方法と, 端 数から取っ (p.87) は,一方の 端 を揃えるこ (p.91) ,反対側の 端 で長さの大 (p.91) に満たない 端 数がそれぞ (p.105) ど,単位の 端 下の処理に (p.123) (ア) 端 数部分の大 (p.150) 踏まえて, 端 数部分の大 (p.150) ・能力は, 端 数部分を表 (p.150) 多いので, 端 数部分の量 (p.151) の大きさや 端 数部分の大 (p.152) の大きさや 端 数部分の大 (p.153) (分や秒の 端 数の付かな (p.167) は,測定で 端 下の数を最 (p.184) さとその両 端 の角の大き (p.246) さとその両 端 の角の大き (p.250) さとその両 端 の角の大き (p.250) 場合や,極 端 にかけ離れ (p.307) います。極 端 に多く読ん (p.321) (ア) 端 数部分の大 (p.357) の大きさや 端 数部分の大 (p.357)
新旧に共通して出現するのは「(単独の)端」「端数」「端下」「両端」です。単独の「端」は主に1年で,「はした」ではなく「はし」と読むことが想定され,長さの直接比較に関するものです。「端数」は,十進位取り記数法や小数・分数で出てきまして,現行・次期の(解説のつかない)小学校学習指導要領の算数に出現するのは,「端数部分」ばかりです。「端下」は,測定における「はんぱ」の量の扱いで使用されています。「両端」は,三角形の合同や同定に関する事項です。
そのほか,新しい解説には「端的」「極端」というのも見かけますが,これは新たに作られた領域「D データの活用」の中で出現しています。「極端にかけ離れた値があったりすると」の表記は,現行の中学校学習指導要領解説数学編にもありました。
新しい解説の算数(2)には,「はした」の語が出現します(現行の解説には見当たりません)。同様に,出現箇所を書いておきます。
して2mの はした があるので (p.191) に着目し, はした の大きさ, (p.246)
前者は第4学年「小数を用いた倍」の話で,8mは4mの2倍(二つ分)というのを前提として,10mは4mの何倍かをいうときに,基にする4mから見て2mを「はした」としています。後者は第5学年「分数の表現に着目して,分数の意味をまとめること」に記されており,「はしたの大きさ」のあとには「量の大きさ」「割合」が続いて,分数の意味の捉え直しが想定されています。
本記事と同じように出現箇所の調査をしたのは,1年半前のことです。
その間,次期解説のPDFファイルが改訂されたので,現時点で最新のバージョン(URLに2018/05/07を含むもの)をもとに,調べ直しました。なお,出現箇所は,書籍になっている『小学校学習指導要領解説(平成29年告示)算数編』も同じでした。
調べ直そうと思ったまた別の契機は,次の記事を目にしたことです。
そこではリンクされていませんが,同じ方の算数用語「はした」について、再び一言 - 身勝手な主張には,当ブログの1年半前の記事をリンクし,「「はした」は現行の算数指導要領解説には登場してこないが、2020年実施のために書かれた新算数指導要領解説では2箇所出現する」と記されています。
当方では,算数の教科書において「はした」は,国語(語の認識)と算数(数量の精密化)の2つの観点で,意図的に使用されているものと認識しています。辞書の状況と合わせて,以下よりご覧ください。