かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

2017年の掛け算の順序論争・共感を得る手段

ツイート(https://twitter.com/sekibunnteisuu/status/836918003736289280)から知りました.ブログ記事本文に対して,ある種のコメントがついていないのが,まず気になりました.承認制とのことで,ツイート主さんも書いたけれど掲載されなかった,という可能性が考えられます.
本文に戻りまして,「みかんを1人5個ずつ3人に配ったら 何個でしょう?」の問題から始まっています.おそらくwikipedia:かけ算の順序問題には目を通しており,『かけ算には順序があるのか (岩波科学ライブラリー)』も,数学者は「順序」についてどのような見解を出していますか? - わさっきで挙げた書籍も,読んでなさそうだなという印象を持ちました.
中盤の「六年生になって(略)私は黙って〇にします」は,他と照合を試みてもよさそうです.5年までの学習内容から出題され,例年,6年生が4月に取り組む「全国学力テスト」では,解説資料に「乗数と被乗数を入れ替えた式なども許容する。」と記載されています.その意味で,「黙って〇にします」と合っています.
ですが,国立教育政策研究所が実施した調査の中に,5年でも○にしている出題もあります.「水そうに8Lの水が入っています。この中に0.5Lの水を2はい入れました。水そうに入っている水は,全部で何Lでしょう。」に対し,8+0.5×2のほかに8+2×0.5も,正答としているのです*1
とはいえこの記事の特色は,終盤の,次の2つに現れています*2

私がそもそも理解不能なのは
いちいち×にされたことを
親に言う子供です。

ですから、本当に不思議なんです。
その×にされた少年がいちいち親に言ったことが。

本人から親に言うまでもなく,子どものテストの点数や,授業で何を学んでいるのかが気になる親からすると,テストの解答を見て,どうしてバツなんだと思うのは,自然なことだと思っています.
そして子どもの教科書やノートを見たり,先生に尋ねたり,書店で本を参照したりするよりも,写真を撮って「ネットにアップ」することで,マジレスもあるかもしれませんが,むしろ手軽に,「共感」を得るものとなっているわけです.
共感を得る手段が,今回のブロガーさんと,ネットで手軽にアップする人と,自分とで,異なってそうだなあと感じた記事だったのでした.

*1:http://www.nier.go.jp/kaihatsu/tokutei/04002030200004000.pdf#page=103, http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20120915/1347653753

*2:「×」の文字を,乗算記号と不正解(バツ,ペケ)の両方の意味で,1つの記事の中で用いているのも,興味深いものでした.