【かけ算①】お団子を隠して提示し、必要な情報を引き出す。すると、串の数と1本の串に刺さったお団子の数が必要だと言う。そこで写真のように提示すると、子供たちはすぐに計算でお団子の数を求めた。そして、3+3+3+3を3×4と表記することを確認した。 pic.twitter.com/JO38rQDEJA
— 前田 健太@算数の先生 (@mathmathsan) September 10, 2021
学級通信と授業記録を連動させると、保護者に授業の様子や授業の意図が伝えられます。特にコロナ渦では授業参観が1度もできない状態の学校も多いと思うので、おすすめです。 pic.twitter.com/MwdcDHm5YX
— 前田 健太@算数の先生 (@mathmathsan) September 12, 2021
途中のhttps://twitter.com/mathmathsan/status/1436514850398556163のツイートも興味深いです。
「団子のかけ算」は,『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編』p.128に写真付きで載っています。そこでは4+4+4や4×3という式が期待され,同じページの掲示物の件と比べると,3+3+3+3や3×4は,想定外となっています。また学級通信のあとのページで,薄い赤字になっている「答えは同じでも意味が違う!」は,「かけ算の順序」という言葉を使わない,小学校算数指導者サイドの,児童の声の拾いあげ*1であるように思いました。
はじめに隠して,徐々に広げていくという授業事例は,以前に読んだことがありました。
- 盛山隆雄: かけ算九九の導入―同数累加,「一つ分」と「いくつ分」,アレイ図の縦と横をもとにして―, 算数授業研究, Vol.80, pp.32-33 (2012).
これにより,3+3+3+3+3=15のほか,5+5+5=15でも求められるという展開になっていきます。
授業としてはそこで,かけ算の式を教え,p.33の左カラムは,「3×5も5×3も同じ15だ」という子どもの発言が,最下行に書かれています。
右カラムに移ると,図は次のようになります。
団子の個数は,実は3×5でも5×3でもなかった,というのです。
ではこれまでの内容が無駄だったのかというと,そうではなく,15個として求めるまでは,「3個ずつ5列並んでいると思うから」を根拠として,式に表してきたわけです。
ところで14というのは,2×7,または7×2と表せます。授業では先生が「でも,14個でもきれいに箱につめることはできるかな? 並べなおしてみよう」と働きかけ,「全員が次のように並べ」から始まる文のあとに,2行7列のアレイ図を配置していました。
と,ここまでを書き出してから,学級通信のツイートの画像を見ると,「KくんやJくんから、他の串も同じ数だとは限らないから、これだけじゃわからないという指摘もでました。私が普段やりそうなことですが」というのが入っていました。周到でした。
この学級通信は実際に発行・配布されたものではなく,Twitterのフォロワー(とくに小学校の先生)向けに作成した,架空のものと理解しました。通し番号の「No.100」は,九九(No.99)を超えた内容を扱っている,と深読みをしてみましたがいかがでしょうか。
*1:もし,「順序」を入れるのなら,「先行知識がある子が「どっちでもいいよ」「答えは同じだよ」と言っていましたが」のところに,「順序は関係ないよ」を挟むというのが一案です。