- 作者: 「味噌汁・ご飯」授業研究会,野中信行,小島康親
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 2017/07/27
- メディア: 単行本
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「味噌汁・ご飯」授業は,「手軽で」「飽きない」「栄養価のある」授業と読み替えられ,pp.11-12で細分化されています。なお,https://www.facebook.com/miso.gohan/によると,「味噌汁・ご飯」授業研究会は今年3月までで,2月には解散セミナーが催されたとのことです。
単元の授業準備の段階で,単元終了時に児童らに解かせる「単元テスト(業者テスト)」を分析しておき授業に取り入れようという趣旨が,pp.56-57に見られます。例えばp.57では,低学力児(100点満点で30点以下)でも「味噌汁・ご飯」授業を通じて60点,70点,80点取れるとし,単元テスト分析の必要性について次のように記しています。
そのためには,事前の「単元テスト」が大きな役割を占めていることになる。このことなくして,このような「事実」を作り上げることはできない。業者テストは,テストの平均を80点や85点に揃えるために,必ず子供たちが間違う問題(私たちは「ひっかけ問題」と呼ぶ)を入れている。そこにまんまとひっかかるのである。
ここを私たちがマークしなければ,テストの平均を上げることはできない。
では,具体的にどうするのか。p.58,p.59を参考にしてほしい。
次のページでは,2年生,東京書籍「かけ算(2) 九九をつくろう」の単元テストを例に,その分析を行っています。単元テストの表面の最後,[6]が「ひっかけ問題」であるとし,その問題文と,対策を述べています(p.59)。
長いすが8つあります。1つの長いすに7人ずつすわります。みんなで何人すわれますか。
この問題は,かけ算の基本的な考え方である「1つ分の数×いくつ文=ぜんぶの数」のうち,「いくつ分」に当たる「8つ」が先に,「1つ分の数」に当たる「7人」が後にきている。従って,算数の苦手なこの多くが,正解の「7×8」ではなく,「8×7」と,立式してしまうことが考えられる。その対策として,
- 教科書p.48で出てくる前に,かけ算すべての段において,先生問題として,問題文で「いくつ分」が「1つ分の数」より先に出てくる問題を解かせる。
- 「1つ分」の多岐にわたる表現を,模造紙にまとめて掲示する。
という手立てを考え,実際に指導することができた。
このおかげで,本学級30名の本単元テストの平均点は,50点満点で,思考46.2点(92.4%),技能48.5点(97%),知識46.3点(92.6%)と,3領域とも90%を超えることができたのである。
上記のほか,p.101には「子どもが8人います。あめを1人に3こずつくばると,ぜんぶでなんこいりますか。」で8×3と立式する子が出てしまう点を指摘した上で,その対策として「図で表す」ことを提案しています。「1はこに,5こ入っているりんごが,3はこあります。ぜんぶでなんこでしょうか。」という文章題も,「りんごのはこが,3はこあります。1はこ5こ入りです。ぜんぶでなんこでしょうか。」という文章題も,1個りんごを●で表し,5こずつ並べて長方形で囲めば,同じ図になるということです。