かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

速さの問題にちょう戦しよう

 「かけ算の順序」に関連する記述が見られるのは,特色2です。「3年上p.2~3」すなわち3年の最初の問題は,●の個数を工夫して求めるものですが,しほさんは5×4=20,こうたさんは4×5=20の式で表し,答えはともに「20こ」です。「しほさんやこうたさんの考えをせつ明しましょう。」に関して,すぐ上の吹き出しや,2年で学習した内容をもとに,「しほさんは,5このまとまりが4つ分とみて,5×4=20という式にしました」「こうたさんは,4このまとまりが5つ分とみて,4×5=20というしきにしました」と答えることが期待されます。この件において,かけられる数とかける数*1を交換した式が認められるのは,意図したものでしょう*2
 同じページを読み進めると,「6年p.90~91」の「陸上競技の記録について考えよう」では,種目名に何度か,「4×100mリレー」の表記が出現します。「100×4m」でも「100m×4」でもありません。これは,『小学校学習指導要領解説(平成29年告示)算数編』に記載された,かけ算の表記です。小学校学習指導要領解説算数編と合わせて読みたい,2010年・2011年の文献で2冊の本を紹介してきました。
 全般に目を通して,教材の特長的な取り扱いの「PPDAC」「三用法」「第二用法」と,他教科関連,カリキュラム・マネジメントの「15分×3コマ」「45分×4コマ」は,少し面白いなと思った箇所でした。
 サイト内で最も時間を費やしたのは,タイトルにも書いた「速さの問題にちょう戦しよう」です。以下よりアクセスできます。

 最初に表示されたのは,「秒速31mで走るチータが,310m進むのにかかる時間は何秒ですか。」でした。「はじき」あるいは「みはじ」で解けます。わられる数とわる数に注意して,答えは10秒です。ページ下段に,1から0までおよび小数点と「1つ消す」のボタンがあり,マウスでも操作できますが,キーボードで数を打ち込むこともできます。「答え合わせ」のボタンを押して,正解の赤丸をもらったら,次のページです。全10問で1回分が終了し,「もう一度」のボタンでまた問題を解くこともできます。
 ここに「はじき」「みはじ」で解けない問題が,入っていたのでした。例えば以下の出題です。

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 630÷3=210,これでおしまいじゃないかと思ってよく見ると,「時速何km」ではなく「分速何km」を問うています。丸をもらうには,時速から分速への変換を行った上で,正解となる小数を入力する必要があります。
 とはいえ,20問くらい,このページで問題を解くと,出題のパターンは見えてきます。アンチはじきで紹介してきた,加減算を含むものは見当たりませんでした。その一方で,mとkmの単位変換を含む問題や,「はじき」で求められるけれど答えが小数になる問題も,ありました。

*1:「かけられる数」「かける数」は,2年で学習する「ことば」であり,「かけ算」とは別で(あとのページで)学習することは,https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou/sansu/introduction/page08.htmlの「さく引」の画像から知ることができます。

*2:同様に意図された文章題には,http://www.kasanken.com/03shidouan/2nen/2-20071006-kakezan.pdfの「ふぞく小学校ぜんぶでは,何クラスあるでしょう」を含む評価問題があります。http://takexikom.hatenadiary.jp/entry/2017/04/09/082950の後半で詳しく解説しています。