「さらが 5まい あります。1さらに りんごが 3こずつ のって います。りんごは ぜんぶで 何こ あるでしょう。」という問題文で,式に表す前に図にするとしたら,例えば,次のようにすることが期待されます.
これを「囲い込みありのアレイ図」と呼びます.これに基づくと,“一つ分の大きさ”は3,“いくつ分”は5なので,式は3×5=15となります.
それに対し,3×5=15だけでなく,5×3=15も正解とすべきだとする根拠として,次の図を挙げる人々がいます*1.
こちらは,「囲い込みなしのアレイ図」と呼ぶことにします.
さて今までは,問題文から図をつくるという流れを見てきましたが,ここで逆方向,すなわち図から問題文に戻せるのかというのを,検証してみたいと思います.
「囲い込みありのアレイ図」を起点にして,さらに同じ個数だけりんごを乗せる問題を作るとなると,もとの問題文になってくれます.
しかし,「囲い込みなしのアレイ図」からだと,もとの問題文のほかに,「さらが 3まい あります。1さらに りんごが 5こずつ のって います。りんごは ぜんぶで 何こ あるでしょう。」と,“一つ分の大きさ”と“いくつ分”を交換した問題文も,表せることになります.
以上のことは,“ならば”を使って次のように書くことができます.
- 問題文 ならば 囲い込みありのアレイ図
- 囲い込みありのアレイ図 ならば 問題文
- 問題文 ならば 囲い込みなしのアレイ図
- (「囲い込みなしのアレイ図 ならば 問題文」は言えない)
この関係は,式変形で安易に2乗してはいけない話を連想します.の計算で,とおいて,両辺を2乗すると,となります.ここからを得て,なんて答案に書くと,間違いです.
これは,両辺を2乗するところに問題があります.ならばは,命題としては真だけれども,その逆,ならばと言うわけにはいかないわけです.
なお,“”は,現在読んでいる『フィンランド教育の批判的検討―学力の国際比較に異議あり!』のpp.60-63に入っている話を使わせていただきました.
(最終更新日時:Mon Jun 18 06:02:57 2012ごろ)