かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

図を考える,図で考える,ジャスので考える

 特集は「全学年の図の指導」です。なので「B 図形」の領域の話かと思いながら,表紙を開けたところ,目次より前の見開きのカラーの,大小15の写真のうち,この領域に該当しそうな写真は1つしかありません。
 見開きの左のページには「図を考える」,右には「図で考える」とあります.それぞれの右に添えられた説明文は以下の通りで,「を」と「で」の違い,もしくは児童が何を既知として何を目指しているのかが,分かるようになっています。

図を考える 数量や図形の概念や性質を表す図を考えたり,問題を解決するための図自体を自分で考えたりすること。
図で考える 既に知っている図や与えられた図を用いて,数量関係の把握や問題解決をしようとすること。

 それぞれのページの最下段の写真に添えられた中に「比例数直線」が入っています。目次を見ると,2つの記事の見出しに,この語があり,p.25は比例数直線の解説,pp.40-41は授業事例となっています。
 アレイ図(p.18),関係図(p.26),面積図(p.27)は,なじみの図式です。液量図(p.22)という名称は見慣れませんが,ブラウザで検索すると,算数の指導・学習でよく使われているのが確認できました。ななめの◇の配置による,3×3の(ななめの)正方形(p.9)も,興味深いものです。
 ページを前後して,丸と線と,カタカナとひらがなの手書きノートの一部が,目に留まりました(p.36)。

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 文字は「ジャ」「ス」「の」です。前後の文章を読まなくても,6個の丸を3人に同じ数ずつ分けるという,等分除の場面が思い浮かびます。凵を横に伸ばした入れ物への線で,連想するのは,[Anghileri 1988](わり算,包含除・等分除,トランプ配り (2016.05) - わさっきhb)です。
 内容としては,この図を問題解決に適した形に変更していきます。同じページの下の写真では,線を引かずに表現する方法として,それぞれの丸に,①④②⑤③⑥という番号を振っています*1。次のページでは「どら焼き6個を2人に同じ数ずつ」の問題文に対し,①③⑤,②④⑥の「凵」囲みで,かけ算の式「□×2=6」を得ています。
 ところで「どら焼き」によって,最初の図のカタカナとひらがなが,「ジャイアン」「スネ夫」「のび太」であることに気づきました。この図のすぐ下にも,「図2は,1つずつどら焼きを等分していこ(略)」と書かれています。一つの情報(ここではどら焼き)を持つか持たないかで,物の見方が変わるというのを,再発見させられました。