かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

自分勝手な読解

 上の記事に対して,少し時間をとって次の文章を作成し,コメントとして投稿しようと考えました。

  • 前半に書かれた「実数のかけ算においては交換法則が成り立つ」に関して,このことを否定するつもりはありませんが,昨年第五版が出た『算数教育指導用語辞典』では,四元数については交換の法則は成り立たないことを言及しています。規則の適用に注意が必要となることは,算数を専門とする小学校の先生であれば承知のことではないかと思います。
  • それと,途中でリンクされている小学校学習指導要領解説のページは,現行(来年度まで)のものですが,次期指導要領の解説が一昨年,公開されており,そこには「ここで述べた被乗数と乗数の順序は,「一つ分の大きさの幾つ分かに当たる大きさを求める」という日常生活などの問題の場面を式で表現する場合に大切にすべきことである。一方,乗法の計算の結果を求める場合には,交換法則を必要に応じて活用し,被乗数と乗数を逆にして計算してもよい。」というのが含まれています。式に表すことと計算することとが,区別されています。なお,「被乗数と乗数の順序」というフレーズは,2011年4月(『かけ算には順序があるのか』の少し前)に出版された本にも載っており,その執筆者は,次期算数解説の協力者として名前が入っています。
  • 終わりのほうの「いざ乗法を文章題に活用する段になって「交換法則の活用は認められない」というような指導を行う」について,教科書を手に取りチェックするのが困難としても,せめて教科書会社のWebページへのアクセスは,されてもよいのではないでしょうか。東京書籍では「えんぴつを1人に2本ずつ,5人にくばります。」「えんぴつを2人に5本ずつくばります。」を教科書の中で横並びにし,意味理解の定着を図っている,というのを学力調査結果に見るつまずきへの取り組みとして紹介しています。
  • はじめのほうに戻りますが,「かけ算の式には好ましい順序があり、その通り指導しなければならない。逸脱する生徒は矯正しなければならない。」こそ,ご自身の思惑を入れた、自分勝手な読解ではないでしょうか。引用されているツイートの画像には,「順序」の語が見当たりません。

 上記について,読み直した情報は次のとおりです。

 冒頭の記事の下段,「コメントを書く」のボタンを押すと,「コメントはブログの管理者が承認すると公開されます。」と表示されました。メインブログのアカウントにするか,当ブログのにするか,迷って結局,本記事にて公開することにしました。

(最終更新:2019-07-02 晩。いくつかURLを変更しました)