かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

13cmのソフトキャンディー

 はじめに,「13÷2」の式で表すことのできる文章題を,2パターンに分けて3つずつ,例示します。

  • 13÷2=6.5で求められるもの
    • 13cmの紐を,2人で同じ長さに分けると,1人分の長さはどれだけになりますか。
    • 13cmの紐は,2cmの紐の何倍の長さですか。
    • 13個のおはじきは,2個のおはじきの何倍ですか。
  • 13÷2=6あまり1で求められるもの
    • 13個のおはじきを,2個ずつ袋に入れると,2個入りのおはじきは何袋できますか。
    • 13個のおはじきを,2人で同じ数ずつに分けると,1人分は何個になりますか。
    • 13cmの紐を,2cmずつ切り取っていくと,2cmの紐はいくつできますか。

 「等分除か包含除か」「被乗数・乗数が分離量か連続量か」では,これらの区別は説明できません。商が有理数になってもよい場合には,あまりがなく,商が整数でなければならない場合に,あまりが生じます。「商が連続量か分離量か」と書くことができます。



 「全国算数授業研究大会」で検索することで,開催要領を知ることができました。

 なお,研究大会の「2023年(略)」のリンク先は,本記事執筆時点では,2022年と同じになっています.
 板書の画像から,読み取れることを,書いていきます。「13÷2=6あまり1になるお話はどっち?」を中央上段に書き出して,2つの文章題(模造紙に,事前に書いてあったものと思われます)を貼り出しています。それぞれ以下の通りです。

13cmのソフトキャンディーを
2cmずつ切りとっていくと
2cmのキャンディーはいくつできますか。

13cmのソフトキャンディーを
2人で同じ長さに分けると
一人分の長さはどれだけになりますか。

 「2cmずつ」のほうが,「13÷2=6あまり1」の式になります。問題文の下に,この式と,13cmを2cmずつ切り分けるテープ図,そして「2cmのキャンディは6こ」「2×6=12」という,言葉と式があります。かけ算の結果は12であって13ではありません。差の1は,「あまり1cm」として,赤チョークで書かれています。
 それに対し,「2人で同じ長さに」のほうも,すぐ下に「13÷2=6あまり1」の式を書いていますが,その右には,黄色のチョークによる,雲形の吹き出しで「?」が,添えられています。テープ図では,13cmを,一人は6cm,もう一人も6cm,取って,「あまったのこりのキャンディー1cm」を赤字にしており,そこから右上に,オレンジ色のチョークで矢印を伸ばして,「なんか図がへん?」と示しています。
 「あまりの1cmも分けられる!?」が,黒板の右上に書かれ,テープ図で展開していきます。「1cmを\displaystyle\frac12,半分にわける?」に対し,その長さは「5mm」です。「1人分は,13cmの\displaystyle\frac12」であり,答えは「6cm5mm」です。板書の右下は「13÷2=6あまり1 式がおかしい!」がオレンジ色のチョークで書かれています。
 結局のところ,「2人で同じ長さに」を含む文章題について,式は13÷2=6あまり1ではない,というわけです。
 この投稿を,当日(2023年8月7日)に目にし,ブックマークしていました。今,読み直すと,内容に違和感がありました。
 2つのわり算について,式(上記では13÷2)は同じだけれど,計算して,商とあまりが異なることについては,教科書より事例を把握しています。

 そこで紹介した一対の文章題について,式で表すと,一方が「7.5÷2=3.75」,他方が「7.5÷2=3あまり1.5」となります。
 ただし,「7.5」を,「7」といった(2でわり切れない)整数値に置き換えても,同様の結果となります。7mのロープを2等分すると,1本分の長さは3.5mであり,あまりは発生しません。7mのロープを2mずつに切ると,2mのロープは3本できて,1mあまります。ここで,「等分除だとあまりがなく,包含除だとあまりが出る」と,認識するわけにはいきません。『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編』p.192では,「整数を整数で割って商が小数になる場合も含めるものとする」に関して「6Lを4等分する場面と6mは4mの何倍かを求める場面」を例示しており,「6mは4mの何倍か」は,割り進むことのできる包含除です。
 比較を通じて,気づくことができました。明記されていないけれども,「13÷2=6あまり1になるお話はどっち?」を含むこの公開授業は,3年生向けだったのでした。
 3年生向けであって4年生向けでない状況証拠としては,掲示された2つの文章題の右上にそれぞれ「とり算」「わけ算」が添えられていること*1,そして,「2人で同じ長さに分けると」に対する計算として「13÷2=6.5」という割り進みが見られないことを,挙げることができます。
 割り進みが使えないのに加えて,乗法と除法の関係が十分に利用できないことになります。実際,「2cmずつ」の文章題に対するかけ算の式は,板書では2×6=12ですが,4年で学ぶ「被除数,除数,商及び余りの間の関係」の式*2に当てはめると,「2×6+1=13」と表せます。「2人で同じ長さに」のほうは,「6.5×2=13」です*3
 3年の学習となると,以下の2つの文章題では,ともに式は「13÷2=6あまり1」となります。

13このおはじきを
2こずつとっていくと
2このおはじきはいくつできますか。

13このおはじきを
2人で同じ数ずつに分けると
一人分は何こになりますか。

*1:https://takehikom.hateblo.jp/entry/20160522/1463842800に書いた「親しみやすいネーミング」です。作成した表には,「等分除」の行に(その別名として)「分け算」,「包含除」の行に「取り算」を,記載しています。

*2:https://w3id.org/jp-cos/8250243131300000

*3:https://w3id.org/jp-cos/8250243141400000