かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

はじき批判(2): 『田中博史の算数授業のつくり方』(2009)

参加者I:昨年,5年生で4マスを使って学習しました。(略)それはよかったのでしょうか。
 それと,年配の先生に,結局,「は・じ・き」と一緒じゃないかと言われました。いや,違う,それは違うと言ったのですが,何か上手く説明ができなくて,どうなのでしょうか。
(p.143)

〔左に3つの4マス関係図,中央と右に「はじき」の図〕
 4マスは「は・じ・き」のようにもともと意味のない図とは根本的に違います。「はじき」の図は公式を覚えさせるためのものですからね。4マスの表は,実は教科書にも普通に載っている比例の表です。この表を他の場面でもっと活用しようという手なんです。表に書くというのは,算数的にまとめるということですから,意味がある活動なのです。
(p.144)

 「はじき」「みはじ」批判を含む出版物の中で,真っ先に思い浮かぶ本です。
 ただし,「は・じ・き」が「意味のない図」であるというのには賛同できません。かけ算・わり算の相互関係を一つの図にしたものであり,見た目は異なりますがShalin's system*1も同様と言えます。

*1:書誌情報はhttps://takehikom.hateblo.jp/entry/20130130/1359490089で書いていますが文献にはアクセスできていません。https://books.google.co.jp/books?id=xvHESHH7m5IC&lpg=PP1&hl=ja&pg=PA72#v=onepage&q&f=falseより,Shalin's systemの表記法や適用例を見ることができます。