かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

バナナ3本とバナナ3本で

 東京都算数教育研究会のホームページで,令和3年度研究委員会研究紀要が公開されていたので,ダウンロードして読んでいきました。
 検証授業の1番目は,第2学年「かけ算(1)」です。全22時間のうち第4時の授業で,計画表には「まとまりに着目し、乗法の式に表す」「どのような乗法の式になるかを、「一つ分の数」×「いくつ分」=「全部の数」を基に図を関連させて説明する。」などが書かれています。「かけ算」や「×」は既習ですが,○の段の九九というのは未習の状況での学習となります。
 本時の展開(p.10)としては,最初に,バナナ3本の写真を2枚提示し,「これらのバナナをかけ算の式に表しましょう。」と問い,「3×2=6」を促します。留意点には,「一斉に答えさせることにより,式が一意に決まることを強調する。」ともあります。
 しかし実際の授業では,全員が「3×2」と言ったのではありませんでした(p.12)。

(8)指導の様子
 導入で一房に3本ついているバナナ二房の実物を児童に提示した。ほとんどの児童が3×2と答えたが、Caと他数名が3×3としていた。そこで、児童にどちらの式か問うた。実物と言葉と式を関連させて説明させたり写真に囲い線を書き込ませたりすることで、この場面を表した式は「3×2」であることと、かけ算は一つ分の大きさ×いくつ分で全体の数を求めることができることをおさえた。

 かけ算の授業であること,そしてバナナ3本とバナナ3本が見えていたことから,「3×3」と言った児童がいたのでした。確認を通じて,「3×2」であることを押さえ,授業のメインになる題材へと移っていました。
 上記のつまずきとその回復を一般化すると,次のようになります。●×2という,かけ算の式に表すことが期待される場面で,●×●という式にしてしまう子どもがいます。このとき,既習の「一つ分の数×いくつ分」に当てはめると,乗算記号の右の●が合っていない(バナナ3本は「いくつ分」でない)ことに気づくというわけです。