かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

4つの袋におはじきが3個ずつ

 wikipedia:en:Multiplicationに,以前より気になっているイラストがありました。
 キャプションごと画像にすると,以下の箇所です。

 “Four bags with three marbles per bag gives twelve marbles (4 × 3 = 12).”を訳すと,「4つの袋におはじきが3個ずつで,おはじきは12個(4×3=12)」です。英語版ということもあり,かけ算の式は「いくつ分×1つ分の数=ぜんぶの数」に基づいているのがうかがえます。本文には,「3×4=4+4+4=12」「4×3=3+3+3+3=12」といった式が書かれています。
 なのですが,おはじきのイラストと,「4つの袋におはじきが3個ずつ」には,違いがあるようにも見えます。イラストを,より詳しく説明すると,「4つの袋に,赤青緑のおはじきが1個ずつ」入っているのです。
 イラストはSVG画像だったので,取得して手を加えてみました。まずは元となる「4つの袋に,赤青緑のおはじきが1個ずつ」です(50%に縮小して,PNG画像にしました)。

 「4つの袋におはじきが3個ずつ」を表すのは,例えば,次のものです。

 SVGファイルのダウンロードと画像生成を行うスクリプトファイルをhttps://gist.github.com/takehiko/ed6dd3280affd13733f0238000f1e80cに公開しました。シェルスクリプトで,実行時にはいくつか外部コマンドを呼び出します。wgetsedは標準的なLinux環境にあるはずですが,inkscapegmのコマンドは,なければ別途ダウンロードが必要です。
 処理としては,https://en.wikipedia.org/wiki/Multiplication#/media/File:Multiply_4_bags_3_marbles.svgよりダウンロードできるファイルの中身を見ると,RGBの色指定は「#cc0000」「#00cc00」「#0000cc」となっていまして,このいずれか(デフォルトは「#cc0000」)に統一するというものです。

 作成した画像は,当初,2つの場面と1つの場面:事例整理に追記するつもりでした*1。日本の算数の小学2年の学習においては,「4つの袋におはじきが3個ずつ」のほうを表すかけ算の式は「3×4=12」のみとなるのに対し,「4つの袋に,赤青緑のおはじきが1個ずつ」について,まずは「3×4=12」だけれども,色に着目することで,たし算なら「4+4+4=12」,かけ算だと「4×3=12」が認められる可能性がある,と判断したのでした。

*1:更新する予定はありませんが,メインブログのhttps://takehikom.hateblo.jp/entry/20111125/1322171246も関係します。