かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

令和6年度算数教科書読み比べ(4)~かけられる数とかける数

 「令和5年3月15日検定済」で来年度より使用される小学校第2学年の算数教科書(見本)で,「1つ分の数」「いくつ分」「かけられる数」「かける数」の出現を調査しました。

東京書籍 新編 新しい算数 2下

  • p.7: 5×3=15の式の「5」に吹き出しで「1つ分の 数」,「3」に吹き出しで「いくつ分」,「15」に吹き出しで「ぜんぶの 数」。
  • p.17: 3×9の しきで、3を かけられる数 と いい、9を かける数 と いいます。
    • 「かけられる数」と「かける数」にはオレンジ色の塗りつぶし
  • p.37: 九九の ひょうと きまり。1から9までの行の左に「かけられる数」が縦書き,さらにその左に「1のだん」から「9のだん」まで。表の上に「かける数」が横書き。

大日本図書 新版 たのしい算数2年

  • p.140: 3×7=21の式の「3」に吹き出しで「1つ分」,「7」に吹き出しで「いくつ分」,「21」に吹き出しで「ぜんぶの 数」。
  • p.147: 3×9の しきで 3を かけられる数、9を かける数と いいます。
    • 「かけられる数」と「かける数」は太字
  • p.156: かけ算 九九を ひょうに まとめよう。表の左に「かけられる数」が縦書き,さらにその左に「2のだん」と「3」から「5」まで。表の上に「かける数」が横書き。

学校図書 みんなと学ぶ 小学校 算数 2年下

  • p.6: 4×3=12の式の「4」に吹き出しで「1つ分の 数」,「3」に吹き出しで「いくつ分」,「12」に吹き出しで「ぜんぶの 数」。
  • p.15: 3×4の しきで,3を かけられる数,4を かける数とも いいます。
    • 「かけられる数」と「かける数」は太字
  • p.38: かけ算(3) 九九の きまりを 見つけて いかそう。「1のだん」から「9のだん」までの左に「かけられる数」が縦書き。表の上には「かける数」が横書き。

教育出版 小学算数2下

  • p.7: 3×4=12の式の「3」に吹き出しで「1つ分の数」,「4」に吹き出しで「いくつ分」,「12」に吹き出しで「ぜんぶの数」。
  • p.17: 3×4の式で(改行)*13を かけられる数 といい、(改行)4を かける数 といいます。
    • 「かけられる数」と「かける数」は太字。それぞれの前後に空きがあるように見える。
  • p.27: もっと 九九を やってみよう! 表の左に「かけられる数」が縦書き。表の上に「かける数」が横書き。

啓林館 わくわく 算数2下

  • p.6: 4×3=12の式の「4」に吹き出しで「1つ分の 数」,「3」に吹き出しで「いくつ分」,「12」に吹き出しで「ぜんぶの 数」。
  • p.12: 5×1=□の「5」に吹き出しで「かけられる数」,「1」に吹き出しで「かける数」。
  • p.66: 九九づくり。表の左に「かけられる数」が縦書き。表の上に「かける数」が横書き。

日本文教出版 小学算数2下

  • p.10: 4×3=12の式のうち「4」「3」「12」が□で囲まれており,それぞれの下に「1つ分の 数」「いくつ分」「ぜんぶの 数」。
  • p.21: 3×4の しきで 3を かけられる数、4を かける数と いいます。
    • 「かけられる数」と「かける数」は太字。
  • p.28: かけ算(2) 新しい 九九の つくり方を 考えよう。表の左に「かけられる数」が縦書き。表の上に「かける数」が横書き。

振り返って

 どの教科書も,「かけられる数」と「かける数」について,分かち書きされていない(「かけられる 数」「かける 数」となっていない)ことを確認しました。これは,かける 数と かけられる 数で書いた内容と整合します。
 九九の表は,それぞれの行が「かけられる数」,それぞれの列が「かける数」となるのも,共通していました。
 違いとしては,啓林館では「○をかけられる数,○をかける数といいます。」のような,言葉による定義がありませんでした。また6社のうち5社は「1つ分の数*2」「いくつ分」「ぜんぶの数」だったのに対し,大日本図書のみ「1つ分」「いくつ分」「ぜんぶの数」でした。

*1:この教科書では2年から,本文で分かち書きしていないので,区切りを示すため「(改行)」と表記しました。他の教科書も,かけられる数・かける数の説明は,同様に3行で書かかれていました。

*2:4社は「1つ分の 数」と分かち書きされており,教育出版のみ,分かち書きなしの「1つ分の数」でした。「ぜんぶの数」についても同様です。