かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

令和6年度算数教科書読み比べ(3)~*型

 現行の教科書では,2年のかけ算の単元の終わりのほうで,「長方形」ではなく「L字型」の並びについて,丸などの総数を求める式を(複数)書いたり,なぜその式になるかを読みとったりする内容があります。
 以下にて取りまとめました。

 「令和5年3月15日検定済」で来年度より使用される小学校第2学年の算数教科書(見本)にも,同様に掲載されているのを確認し,時間の都合で,記録は取りませんでした.
 今回の教科書を見比べて,関心を持ったのは,「*型」です。「*」の形状に丸を並べてあり,丸の総数を(複数の)かけ算の式で表すという問題です。色や線などの細かな表示に違いはありますが,同心円状に丸が並ぶとみなしたとき,同心円の数は3つという共通点がありました。
 形状を見比べられるよう作成した図を載せ,そのあとにメモに書き残した,作成した図との相違点を述べていきます。

東京書籍

 東京書籍『新編 新しい算数 2下』p.47の問題です。想定される式は「3×6=18」と「6×3=18」です。後者について,内側・真ん中・外側で6個ずつ,3つのまとまりを作るほか,中心を通ってまっすぐ並んだ6個分を,1つ分の数とするという考え方もできます。
 丸はオレンジ色の塗りつぶしで,外枠はありません。また各点について,線で結んでいません。

大日本図書

 大日本図書『新版 たのしい算数2年』『新版 たのしい算数3年』のいずれにも,この種の図を見つけることができませんでした。

学校図書

 学校図書『みんなと学ぶ 小学校 算数 3年上』p.24の問題です(学年に注意)。「九九を使って,右の●の数を求めましょう。また,式も書きましょう。」と出題しています。問題文および図の丸について,外が紺色,中心が白のグラデーションとなっています。
 他と見比べて分かるように,同心円上の丸の数は8つです。丸をつなぐ線はいずれも水色です。ということで式は,「3×8=24」と「8×3=24」が思い浮かびます。同一直線上に並んだものを,1つ分とみなすと,「6×4=24」という式で表すこともできます。

教育出版

 教育出版『小学算数2下』p.110の問題です。
 東京書籍のものと,配置も,結ぶ線がないのも,共通していますが,丸の色はやや濃いオレンジ色でした。また図全体が少し上下に圧縮され,例えば最内の6つの円の中心を通る円を描くことができないようにも見えました。

啓林館

 啓林館『わくわく 算数2下』p.39の問題です。「はるさんは、自分が たいせつだと 思った ことを つかって、●を ならべて 九九さがしの クイズを つくりました。」「どんな 九九が 見つかりますか。」と出題しています。
 東京書籍のものと,配置も,結ぶ線がないのも,共通していますが,問題文および図の丸について,基本的にはオレンジ色,左上が白のグラデーションとなっています。
 一人は3個ずつ6つの囲みを,別の一人は同心円状に6個ずつ3この囲みを,図にしていました。

日本文教出版

 日本文教出版『小学算数2下』p.54の問題です。「かけ算を つかった いろいろな 考え方で、おはじきの 数を 求めましょう。」と出題しているうちの一つです。
 配置が,東京書籍ほかの教科書と異なっています。「*」の形状を30度回転させ,縦方向ではなく横方向にまっすぐ,6つの丸が並んでいます。丸を結ぶ線もついています。
 実際の丸の色は,内側から順に青,赤,緑で,それぞれの丸には枠線も描かれていました。

(比較)緑表紙教科書

 同様の形状を,メインブログで取り上げていました。


算数授業研究 VOL.80』の表紙裏にあった問題です.小サイ マル ヤ 三カク ガ,イクツ アリマス カ。
6つ見て,まず目に入ったのは,同心円上の小さいマルの配置です.4つをひとまとまりと見れば,4×6=24ですし,同じ円周上の6つをひとまとまりと見れば,6×4=24と表せます.

 今回,作成したのと同様に表すと,図は以下のようになります。