おことわり:本記事のURLに「2023」が含まれていますが,投稿時の設定ミスです。作成日は2024年9月22日です。
最寄りの施設へ行き,「令和5年3月15日(または28日)検定済」の算数教科書(見本)に目を通し,いくつかメモしました。
2023年から2024年にかけての「かけ算の順序」の論点の一つとして,「定義」があるように思っています。他者のX(旧ツイッター)のポストで明瞭なものがあれば,ここでリンクします。https://x.com/murakauua510/status/1837365031094341638より始まる一連のポストを行った次の日に,小学2年算数教科書の記載を,見てきました。
といっても教科書には,「定義」も「ていぎ」も,見つかりません。また小学校学習指導要領では「意味」が頻出しますが*1,教科書には,「いみ」も見当たりませんでした。
本文中で「かけ算」が太字になっている箇所を,その教科書における「かけ算の定義」とみなして抽出すると,以下の通りでした。
- 東京書籍
- 新編 新しい算数 2下 p.8
5×3や 2×6のような 計算を、かけ算と いいます。
- 大日本図書
- 新版 たのしい算数2年 p.141
3×7や 2×6の ような 計算を かけ算と いいます。
- 学校図書
- みんなと学ぶ 小学校 算数 2年下 p.6
4×3=12
このような 計算を かけ算と いいます。
- 教育出版
- 小学算数2下 p.7
3×4や4×5のような計算をかけ算といいます。
- 啓林館
- わくわく 算数2下 p.7
4×3や 3×5のような 計算を かけ算と いいます。
- 日本文教出版
- 小学算数2下 p.10
4×3や 2×4のような 計算を、かけ算と いいます。
4×3、2×4も しきです。
句読点を除いて「のような計算をかけ算といいます」は,6社共通でした*2。また学校図書のみ,「4×3=12」として,等号を含む式を例示していますが,残りは,等号なしのかけ算の式2つです。
この5社の書き方から,推測できるのは,問題場面に対し「5×3」のように式に表す行為は,「かけ算(という計算)」に含まれないということです。
乗算記号の「×」や,「1つ分(の数)」「いくつ分」「ぜんぶの数」といった語句が,かけ算の定義より前に書かれている*3のも,「立式の根拠」と「計算の方法や性質」を区別して考えることができる*4という効果が期待できます。
*1:乗法の意味については,https://w3id.org/jp-cos/8250223131100000
*2:例えばデジタル大辞泉のかけ‐ざん【掛(け)算】の定義は「ある数を他の数の表す回数だけ加えた合計を求める計算。乗法。」とあります。https://www.weblio.jp/content/%E3%81%8B%E3%81%91%E7%AE%97
*3:https://takexikom.hatenadiary.jp/entry/2023/07/26/053055
*4:https://takehikom.hateblo.jp/entry/20131116/1384560000より: 問題文を読み,かけ算で求められると判断すること,すなわち演算決定は,交換法則の適用(A-1)よりも前に行わなければならない.