かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

「ペアシートが3席」と「3人用シートが2席」~2024年版

 巻末には「本書は2007年に小社より刊行した『オトナのための算数・数学やりなおしドリル』を加筆・修正したものです。」と書かれています。
 メインブログで,抜粋していました。

2×3と3×2は同じ答えですが、考え方が違います。3組のカップルが映画館へ行ったとき「ペアシートが3席」と「3人用シートが2席ある」のでは違いますね。かける数、かけられる数の関係には、ちゃんと意味があるのです。
(p.14)

 本書も,目次を見ると,「かけ算・わり算」の項目があります。ページを開くと(p.14),「小学校の算数 02日目 かけ算・わり算」の見出しのあと,顔のイラストに,以下の通り,吹き出しがついていました。

2×3と3×2は同じ答えですが、考え方が違います。3組のカップルが映画館へ行ったとき「ペアシートが3席」と「3人用シートが2席」では意味が違いますね。かける数・かけられる数の関係には、ちゃんと意味があるのです。

 読み比べてみると,趣旨は同じですが,細かいところで表記が異なっています。「加筆・修正」がなされたと判断できます。
 2024年に出たほうでは,「意味が違いますね」「意味があるのです」として2度,「意味」が使われています。当ブログでは2017年に言及していました。

 ここの「被乗数と乗数の順序に意味がある」について,2種類の解釈ができます。一つは,「3×4=3+3+3+3であり,4×3=4+4+4なのだ」と,被乗数と乗数の順序に,意味が定められている,というものです。
 もう一つの解釈では,「に意味がある」を「は重要だ」と置き換えます。英語でぴったりの単語があり,自動詞のmatterです。(以下略)