かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

変わり方調べの4×10と10×4

  • [青山2024] 青山尚司: 式や数値の意味を問い,表現方法の行き来を促す, 算数授業研究, 東洋館出版社, No.153, p.7 (2024).

 2段組の左カラム中央は,「2 表現されたものの意味を問う」の見出し,そして図のあと,「4年生の「変わり方調べ」に,上のような階段の形の周りの長さを求める題材がある。」から始まる文章で,課題説明がなされています。「10段の場合の周りの長さの求め方」を促すと,「4×10」と「10×4」の式が引き出され,それぞれの「意味を問う」という展開になっています。
 図は,https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf#page=236にあるものと,類似していますが,「1だん」から「4だん」までの形状があるほか,「2だん」以降の図形は外周のみで,内部に縦横の線がありません*1
 この「変わり方調べ」の件は,以前に図を作っていました。

 比較すると,上記ページの求め方①の図*2が,[青山2024]には見当たりません。「1段増えると4cm長くなり、1段のときは4cmだから」に関して,[青山2024]の右カラム,板書画像から読み取れる「0だんで0cmから+4が10こ」には,なるほどと思いました。
 もう一つ,照合すべき情報があります。「変わり方調べ」は,3年前の算数授業研究で,筑波の算数の他の教師(田中英海氏)が取り上げていました。

 読み比べることで,上記ページでは【段×4=まわりの長さ】,小学校学習指導要領解説の「段数×4=周りの長さ」として書かれている,言葉の式が,[青山2024]には入っていないことに気づきました。言葉の式をつくれば,それに当てはめて10段でも1000段でも,周りの長さを求めることができるのですが,[青山2024]で報告された授業は,「段数×4」か「4×段数」かではなく,子どもたちにとってなじみのある「4×10」と「10×4」を引き出して,それぞれ,なぜその式で表せるのかを発表させていました。
 [青山2024]の最後の段落は,以下の通り,かけ算の順序の「イエス・バット」*3の形でした。

 乗法は被乗数と乗数を反対にしても積は変わらない。しかし,「4×10」と「10×4」では,子どもたちが働かせた見方・考え方が異なっている。表現方法の行き来を促しながら,式を丁寧に読むことは,その式を立てた友達の見方・考え方を全員で共有する深い学びにつながるのである。

*1:https://takehikom.hateblo.jp/entry/20180426/1524691332の「GIFアニメーション」も,外周のみですが,[青山2024]の「1だん」から「4だん」までの図は、1段(単位正方形)の一辺の長さは1cmで,「4だん」の幅と高さは「1だん」の4倍になっています。左カラム下と右カラム下の,10段の図は,掲載の都合で,1段分の長さが短く,矢印も少し分かりにくいです。

*2:https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf#page=237の「図で「+4」を説明する」の件も,実質的に同じです。

*3:関連: https://takexikom.hatenadiary.jp/entry/2022/12/14/000000