実施も結果も,令和元年に入ってからですが,年度としては「平成31年度」で統一されています。調査の概要によると,実施日は令和元年7月4日で,小学校の調査対象は「都内公立小学校等第5学年(悉皆)」で,児童数は94,081名となっています。
小学校第5学年 算数 大問4(1)に,「段数×4=周りの長さ」の出題がありました。調査報告書の第1章,p.44より,問題の概要と結果分析を取り出します。
①では「だんの数を□だん,周りの長さを△cmとして,□と△の関係を式に表しましょう。」と出題し,結果分析の表では,正答が3つ,書かれています。具体的には「□×4=△」「△÷4=□」「△÷□=4」で,合わせて「61.7%の正答率」です。「△×4=□」と「□÷4=△」を,誤答例としています。
②の出題は「だんの数が100 だんのとき,周りの長さは何cmですか。」で,正答の「400」が86.0%となっていますが,①の正答率よりもかなり高いのが気になります。
①の結果分析の表に戻ると,「その他」が33.8%です。ここに,「4×□=△」の解答が含まれているように思えてなりません。この式で,□に100を割り当てても,△=400となりますので,②で正解を得ることができます。
他の情報源と照合します。算数授業研究 Vol.121では(周りの長さ~算数授業研究より),棒のスライドを活用して,「段数×4」を得てから,また別のスライド方法により「4×段数」を得ています。
上記の調査報告書の第1章,p.45では,「段数×4」を導くための図*1のみで,直後の段落には「「段の数×4=周りの長さ」という式は、「1辺の長さ×4=正方形の周りの長さ」と捉え直すことができる」という,言葉の式が書かれていました。
*1:『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編』p.231にも,同様の図が載っており,「4×段数」を導くための図は,見当たりません。