かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

量の扱いについて


 「被乗数と乗数の区別をなくして,最初から因数として扱うと,量の扱いではやはり不具合があって,教師たちの丁寧な対応によって乗り越えている」の箇所は,メインブログで2011年に書き出していました.

 そこでは記載の紹介のみでしたが,翌年に,日本・フランスと合わせて再度,紹介しています。

 「不具合」の発生しそうな状況とその理由についても,書いています。「長さや重さなど,量を含んだかけ算の場面・問題に対し,かけた結果がどんな量で,答えにどんな単位を添えればいいかまで,考える必要があります.被乗数と乗数をともに「因数」として区別しない方針は,その解決を遠ざける方向に向くように思うのです.」の文です。
 「フランス」というのは,Vergnaud (1983)に書かれたもので,上記記事では「But, if they are viewed as magnitudes, it is not clear why 4 cakes × 15 cents yields cents and not cakes.」までを書き出しています.このうち「magnitudes」が「量」を表します.未解決(it is not clear why ...)に見えますが,原文では直後に,60セントととなる理由が解説されています。Vergnaud (1983, 1988)を引用している国内外の文献でよく見かける表(SHCEMA)とともにかけ算と構造 - わさっきhbで取り上げています.
 過去そして外国の情報ばかりでは,これからの算数・数学教育のことを思い描くのも難しいので,当ブログにて紹介してきた,全国学力テストの出題事例を2件,挙げておきます.

 それと「その解決を遠ざける方向に向くように思うのです」について,ではどのようにして「解決」が期待されるかですが,キーワードは「(乗法)構造」です。その主要な構造において,被乗数と乗数が区別されています。