かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

2021/12/27に公開の動画


 終わりのほうに,「日本の指導はどうするべきか」の提案があるものの,全体としては,今の日本の算数2年のかけ算指導に賛成という内容です。
 「日本と同じ順序で固定」に関して,韓国と台湾は把握していましたが,ロシアも加わるのは,個人的に新たな知識となりました。
 10:18からが,調査結果のまとめとして重要なように見えます。書き出しておきます。

  1. 多くの国で、かけ算を初めて学習する時は、順序を一方に固定して指導している。
  2. ものを数える時の表現の仕方によって、かけ算の順序が固定された可能性がある。
  3. 順序を固定しない国もある。ただし、その中にもかけ算の順序に意味を持たせている国はある。


 とはいうものの,現在(2021年末)の視点で不十分に感じたところも何点かあります。『かけ算には順序があるのか』を挙げていましたが,同じ岩波科学ライブラリーで今年,『子どもの算数、なんでそうなる?』が出版されています。「かけ算の順序・かけ算の種類」が1つの章(第7話)になっています。
 「4×100mリレー」(13:57)について,東京書籍の算数教科書で,この表記を見ることができます*1。6年の内容であり,情報活用能力と読解力の育成が想定されています。「4人が順にそれぞれ100mを走る」や「バトンパスは4回ではなく3回」は,教科書には書かれておらず,読み取ったり,児童・教師らの間で確認したりしてから,答えを求める必要もあります。
 13:14の「固定して指導していたかけ算の順序を、開放する指導を取り入れていけばいい。」に関して,真っ先に思い浮かぶのは,『学習指導要領解説(算数編)』*2に「段数×4=周りの長さ」と書かれた件を扱った授業です。

 中学数学との関わりについては,以下で取りまとめてきました。

 14:17の「「あくまで、日本の小学校教育という狭い世界のローカルルールでしかない」ということは、全ての小学校の先生が認識しておくべきことだとは思います。」は残念です。2年で学習する「1つ分の数×いくつ分=ぜんぶの数」を土台とし,学年(児童の発達の段階)を考慮して,さまざまな学習がなされています。昨日takehikomの名前でツイートしたものを挙げておきます。



 動画をみて記事を書いたのは,2019/06/07に公開の動画以来です。

*1:https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou/sansu/introduction/commons/img/page02/page_6_90.91.jpgの「6年p.90~91」

*2:「私の動画のファンの皆様ならご存知、『学習指導要領解説(算数編)』から読み取っていきます。」と,2:19に話していて,字幕も付いています。