かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

2023/10/16にライブ配信の動画


 動画をみて記事を書いたのは,2023/04/26に公開の動画以来です。
 0:22ごろからの発言を取り出します。

 かけ算の順序とか,これは守らないとなんで先生は怒るんでしょうというお話です。
 あの,数学的に正しいかどうかっていう話はもうみなさん散々やってるんですけど,これね,数学の話においては,別に入れ替えようと順番ひっくり返そうと,何でもないし,それは正しいって話になっちゃうんですけど,ところがね,これね,小学校の先生の話になってくると,ちょっと,事情が変わってきます。
 で,このルールっていうのは,ねえ何かねえ,正しいって言い張っている人達がみんな,根本的なとこで勘違いしているんですよ。
 あのね,このルールは,教える先生が守らないといけないルールです.教わる子どもたちが守らないといけないルールではない。あのね,子どもがテストに,解答を書く分には,このルールは守らなくていいんです。ただし,先生がテスト問題を作るときや黒板に書くときは,このルールを守らないといけません.これはねえ,非対称なルールなんです。

 最後まで視聴しましたが,「子どもがテストに,解答を書く分には,このルールは守らなくていい」を確認できる情報は提示されません。
 一つの学校やクラスを超えた範囲で実施され,問題や解答類型などが公開されて,ルールに反する(反対に書く)と不正解になるものには,東京都算数教育研究会が実施している学力実態調査があります.令和3年度 実態調査 第2学年の大問5では,式として「4×3」が正解,「3×4」が不正解となっています。
 テストではなく,授業で子どもたちがどのように発言しているのかは,国内では3×2の,子どもたちの発言に記載したリンク先より,また海外ではWhat are the views on "order of multiplication" and "order of addition" outside Japan?のサルカール アラニ (2010),Chapin et al. (2009)で,見ることができます。それらからも,「教わる子どもたちが守らないといけないルールではない」は見出せません。
 ところで,冒頭の動画では,表示が変わりません。正しい式に赤で○,間違えた式に青で×となっている静止画像は,かけ算の順序を問う問題(2014年以降)で「2019年:進研ゼミ小学講座 2年生」のところに貼り付けていました。