かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

二重数直線について,読んでおくべき文献は?

Q: 二重数直線について,読んでおくべき文献はありますか?

 [白井1997]がおすすめです。J-STAGEより無料でダウンロードできます。
 この文献で何が書かれているかについては,要約の第2段落で示されています。

 乗法・除法の演算決定の方法の中では,数直線が最も有効であるという立場にたち,数直線の有用性を明らかにした.一方,数直線そのものは数量の関係を表したものであり,そのままでは演算の決定はできない.したがって,数直線で演算が決定できるようになるには,いくつかの段階を踏む必要がでてくる.本研究は,数直線を進んで活用し,演算決定ができる児童の育成を目指し,数直線の系統的な指導について実践事例をふまえ研究したものである.

 「数直線そのものは数量の関係を表したものであり」について,平成29年度実施の全国学力・学習状況調査の算数に,二重数直線が提示され,□や数値が,数直線上のどこにあたるかを選ばせるという小問がありました。その次の小問で答えを求める際には,数直線を使わず,2つの等式の間に矢印を設けて「10をかける」を添えています。
 また「いくつかの段階」というのは,本文中に表になっていて,「I 数を数直線上の点に表すまでの段階」「II 異種2量の数直線に移行する段階」「III 数量の対応をつかむ段階」「IV 比例的な関係を基に演算を決定する段階」「V 活用する段階」という5段階です。
 [白井1997]を読んだら,次にお勧めしたいのは,『数学教育学研究ハンドブック』の第3章(教材論)§2(演算の意味・手続き)です。このセクションの執筆者は[中村1996]というのを出していて,こちらは無料で読むことができます。「量×量」への言及や,三重数直線があるのは,これら2つの情報源で共通しています。
 洋書では“Understanding Lesson Study for Mathematics: A Practical Guide for Improving Teaching and Learning”が2020年に出ています。4章の章題は“Proportional relationships and the double number line”で,訳すなら「比例関係と二重数直線」です。

 https://www.slideshare.net/takehikom/2021820/45では「この文献の「数直線の系統的な段階表」と,現行の各学年の教科書や他の文献とを見比べるといいでしょう。」と書きました。この件の詳細は,別の記事にします。