かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

長方形の縦横の定義について

 このツイートを見て,思い浮かんだメインブログの記事はななめの長方形 - わさっきhbです。
 その記事に貼り付けた,『新・算数指導の疑問』の画像から読み取れるのは,「長方形はどちらが縦で,どちらが横と教えるとよいですか。」「長方形そのものには,一意的に縦・横の別がない。次の図のように,一方を縦と見れば,他方は横になるのである。」です。またVergnaud (1988)を訳したうちの「手続きmとnは,手続きbとcと非常に似通っているが,mとnの間には非対称性はない.なぜなら,長さ×幅は,幅×長さと概念的に同じだからである.そこに含まれている構造は,単純な比例ではなく,量どうしの積である.」も,いまの日本の算数の指導(算数科教育法)と照らし合わせて,検討できるように思います。
 とはいえ私自身は小学校の教職にありません。かわりに,長方形の縦と横に関する出題状況を把握するため,全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の算数の問題のPDFファイルを一通り読んでみました。
 平成19(2007)年度の算数B大問1(3)には,「図イ,ウ,エ,オは,たてが6m,横が9mの長方形をした花だんです。この中に,たてが3m,横が5mの長方形の■の部分があります。」という説明があり,図を見ると,図エと図オについては,視覚的に「たてが5m,横が3m」であるかのようです。
 平成27(2015)年度の算数A大問6(1)では,直前のページの直方体について,方眼紙を使って展開図をかく途中で,方眼紙上にない「あと1つの面」の,「長方形のたてと横の2つの辺の長さ」を答えるという問題です。正答例を見ると,解答欄は「4」 と「5」になっている(単位のcmは解答用紙に印字されている)のですが,これについて,「二数の入替えは問わない」が,解説資料p.37および報告書p.51に書かれています。
 長方形の縦と横を扱った出題としては,この2問だけでした.斜めになった長方形の問題というのは,見当たりませんでした。
 ここで対象を広げて,全国学力テストの算数の問題から,「斜めの図形」や,面積を求めるための長さ(長方形なら縦と横,三角形や平行四辺形なら底辺と高さ,台形なら上底と下底と高さ)を見つけるのに注意が必要な問題を,探してみました.

 斜めの図形を提示して,そこから図形の特徴を説明したり,面積を求めるための値を取り出したりすることは,全国学力テストでは三角形と平行四辺形を中心に,出題されてきたわけです。長方形においても考えることができ,どこで学習するのが最適かというと,長方形を含む「面積」の単元になるように思います。


 冒頭の方の一連のツイートで,気になった表記や,連想した情報をいくつかあげておきます。冒頭のツイートの「小学生の面積」は「長方形の面積」と書きたかったものと考えられ,https://twitter.com/su_sci_edu/status/1442915309678071808でも同様に,「非乗数」「不可換」は「被乗数」「非可換」と思われます。
 「縦横の定義」の表記にも,違和感があり,「定義する」よりは「定める」または「決める」としたいところです。縦と横を同時に決めるよりもむしろ,「この辺をたてとすると,この辺は横になる」という説明(発表)の仕方を知っておけば,三角形や平行四辺形の面積に応用できます。
 長方形とひし形の面積の話が,https://twitter.com/su_sci_edu/status/1442926367306223621に見られますが,全国学力テストでは平成24(2012)年度の算数B大問3(1)に, 長方形をもとにひし形の面積を求めるための式を書く問題があります。解答類型を見ると,「対角線×対角線÷2」以外の方法に基づく式でも,正答とされているものがあります。
 冒頭のツイートよりもあとに書かれた,https://twitter.com/su_sci_edu/status/1443420286800449546を見て,思い浮かんだのは,https://www.slideshare.net/takehikom/23-32-123835241/37です。[前川2011]は,『活用力・思考力・表現力を育てる!365日の算数学習指導案 1・2年編』という書籍です。「長椅子7つに1人ずつ座らせる事を1周とした場合6周させれば」は,https://www.slideshare.net/takehikom/23-32-123835241/34のうちカナコ・タダコの配り方となります。