かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

指導要領解説から「式の意味」の出現箇所を求める

 『小学校学習指導要領(平成29年)解説算数編』『中学校学習指導要領(平成29年)数学編』のPDFファイルを対象に,「式の意味」が,前後にどのような表現を伴って出現するかを,取り出してみました。KWIC (keyword in context)形式にしています。ページ番号のカッコ書きに続けて,該当の記述が小学校算数・中学校数学のどこに該当するかを記載しました。

捉えたり, 式の意味 を読み取っ (p.42) 小
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.49) 小4
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.49) 小6
けながら, 式の意味 の理解を深 (p.115) 小2
けながら, 式の意味 の理解を深 (p.147) 小3
ど,除法の 式の意味 を乗法の式 (p.148) 小3
味を乗法の 式の意味 との関係か (p.148) 小3
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.180) 小4
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.196) 小4
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.198) 小4
に着目し, 式の意味 を読み取っ (p.198) 小4
関係を表す 式の意味 を読み取る (p.247) 小5
によって, 式の意味 を深めると (p.248) 小5
,体積の公 式の意味 について, (p.260) 小5
たり,図や 式の意味 を言葉で説 (p.270) 小5
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.285) 小6
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.289) 小6
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.290) 小6
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.360) 小4
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.367) 小6
表したり, 式の意味 を読み取っ (p.375) 中2
を表したり 式の意味 を読み取っ (p.41) 小
字を用いた 式の意味 を読み取っ (p.41) 中
字を用いた 式の意味 を読み取っ (p.41) 中
表現したり 式の意味 を読んだり (p.44) 小
表したり, 式の意味 を読んだり (p.44) 小4
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.44) 小6
表現したり 式の意味 を読み取っ (p.44) 中1
表現したり 式の意味 を読み取っ (p.44) 中2
表したり, 式の意味 を読み取っ (p.68) 小
表したり, 式の意味 を読み取っ (p.68) 中1
表したり, 式の意味 を読み取っ (p.70) 中1
号を用いた 式の意味 を読み取っ (p.71) 中1
πrという 式の意味 を読み取り (p.87) 中1
表したり, 式の意味 を読み取っ (p.102) 中2
表現したり 式の意味 を読み取っ (p.102) 中1
表現したり 式の意味 を読み取っ (p.102) 中2
項式と多項 式の意味 を理解し, (p.103) 中2
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.103) 中2
字を用いた 式の意味 を読み取っ (p.104) 中2
変形したり 式の意味 を読み取っ (p.138) 中3
,二次方程 式の意味 をこのよう (p.140) 中3
に二次方程 式の意味 を理解する (p.140) 中3
すること, 式の意味 を読み取る (p.160) 中3
表したり, 式の意味 を読み取っ (p.193) 中2
現したり, 式の意味 を読み取っ (p.208) 小4
現したり, 式の意味 を読み取っ (pp.215-216) 小6

 「式の意味」の直前の語句には,「表したり」と「表現したり」が多くありました。直後は,大部分が「読み取る」「読み取ったり」でした。
 「式の意味は~である」という書かれ方は見当たりませんでした。
 また(解説のつかない)学習指導要領を見たところ,小4・小6・中2で「式の意味を読み取ったりすること。」の表記があります。加法及び減法(小1),乗法(小2),除法(小3)では,「場面を式に表したり,式を読み取ったりすること。」となっています。
 一つの場面に対する,複数の式とそれぞれの意味について,『小学校学習指導要領(平成29年)解説算数編』のpp.198-199の箇所が顕著でした。

問題場面の数量の関係に着目し,式の意味を読み取ったりすること
 問題場面を四則の混合した式や( )を用いた式に表す際,式は計算の結果を求めるための手段だけでなく,思考の筋道を表現する手段としても用いられることに気付かせ,式のよさ*1を捉えさせるようにする。
 例えば,「500円玉をもって買い物に行き,150円のジュースと260円のパンを買いました。おつりはいくらですか」という問題がある。次のように式に表すことができる。
  500−(150+260)=90 ジュースとパンをまとめて買った場合
  500−150=350 350−260=90 ジュースとパンを別々に買った場合
 もしも,500円玉1枚ではなく,100円玉5枚をもって行ったとすると,(200−150)+(300−260)=90 と表すこともできる。場面を変えると,どんな式になるかを考え,伝え合うことで,数量の関係や思考の過程を表したり,式を読み取ったりする力を伸ばすことが大切である。

 『中学校学習指導要領(平成29年)数学編』では,一つの式で複数の意味を示していました(p.71)。

(略)ここでは,等号を計算の過程を表す記号としてではなく相等関係を表す記号として用いる。すなわち,a+2b=1000 は「a+2bを計算して1000になった」ことを意味するだけではなく,「a+2bと1000は等しい(いずれも入館料の合計を表しており,つりあっている)」ことも意味する。こうしたことを読み取れることは,一次方程式の学習と深く結び付いている。(略)

 「出現箇所を求める」の過去の記事です。

*1:「よさ」について,算数授業研究133号で特集されています。[isbn:9784491044033]より入手可能で,Kindle版は見当たりません。