かけ算の順序の昔話

算数教育について気楽に書いていきます。

「速さ」のリンク集

きりぬき

  • 「道のり=速さ×時間」を導く直前の文章題には,二重数直線が使われています。どの教科書も,速さのところで複数回,二重数直線を使用しています。
  • 「みはじ」「はじき」の図を載せている教科書は,ありませんでした。
令和2年度算数教科書読み比べ(8)~速さ

令和2年度算数教科書読み比べ(8)~速さ

 「はじき」「くもわ」の図の使い方を詳しく紹介した上で,では実際に小学校で,それを使って(あるいは使うことなく)どのような授業がなされているのかは,書かれていませんでした。

東京新聞「日本の算数・数学 大丈夫?」のうち二重数直線を目にして思ったこと

「速さ」や「量」を伴う出題の例に,視点を移します。算数の「速さ」の学習を通じて,数量を適切に認識し,正解が導き出せるようになってほしいと期待されている問題の一つは,おそらく以下のものであると,個人的には認識しています。

アンチはじき

教材研究を行えば,この問題の数学的背景は調和平均であり,n個の変量をx_1, x_2, x_3……x_nとすると,それらの逆数の相加平均をさらに逆数にした左の定義に至ります。この調和平均は,上記の例でいえば,異なる速度で往復する場合と同じ所要時間がかかる一定の速度を指します。また,先の問題文の1行目を省いて距離の数値を除いても平均速度が算出できることも数学的に興味深い点です。計算としては分母の中にさらに分数を含む「連分数」を扱う煩雑さがありますが,教科横断的に応用場面も現れる汎用性の高い内容といえます。例えば,中学校理科で電気抵抗(Ω)を学ぶ際に,直列回路で接続した場合の電気抵抗は相加平均,並列回路の場合には調和平均で計算できます。

平均の速さの算数

最後に,『3GBのデータを0.1GB/sの速度で送る』については,『3GB÷0.1GB/s=30s』です.この式は少しだけ注意が必要で,単位だけにすると『GB÷GB/s=s』です.左辺を\frac{GB}{GB\cdot s^{-1}}に変えてから,文字式と見なして計算すると,sの逆数の逆数だけが残って,これはsそのものだ,となります.

デはじ

「『誤認識の問題』の一例」で,問題文は,「大粒の雨と小粒の雨が降っている.地上でみると落ちてくる速さはどちらが大きいか」です.「小学校の低学年の生徒は,どう考えるだろう.ほとんど,自分が現実に体験したことのある雨の場面を想像する.そして理由はわからないが,たとえば雷のなるときの大粒の<どしゃぶりの>雨と,春のしとしと降る<こぬか雨>を比較し,「大粒!」と答える.そして正解となる」(p.21).なるほどです.

統計,速さ